子育て支援、少子化対策として、東京都は2024年4月から、私立も含むすべての高校での授業料無償化を実施しました。大阪府でも無償化への動きが進んでいます。授業料の助成については自治体ごとに内容が異なりますが、東京の近県の神奈川、千葉、埼玉ではどのような制度となっているのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんに聞きました。

――東京や大阪だけが私立高校の授業料の助成に力を入れているのでしょうか。

 そんなことはありませんが、確かに自治体で差は出てきます。東京都は世帯年収にかかわらず、まんべんなく授業料負担をなくし、神奈川県は多子世帯に、埼玉県と千葉県は中所得者や低所得者に重点を置いているようです。

 では、東京都と近郊の県でどれほど差が出てくるか見てみましょう。

 まず、国の就学支援金は年収910万円未満の世帯(高校生、中学生、両親の4人家族。両親のうち1人が働いているケースの目安)が対象です。神奈川県、埼玉県、千葉県では910万円以上の世帯へは国からも県からも補助はなく、授業料は全額負担となります。一方、東京都では今年度から都が補助金を出すことになったので、48万4000円までの授業料の高校であれば実質無料です。

 年収800万円ほどの世帯では、どうでしょう。東京都は同じく48万4000円まで無料。埼玉県、千葉県、神奈川県は国の就学支援金11万8800円のみで、それ以上にかかる授業料は負担することになります。

 ただ、神奈川県は24年度から多子世帯(23歳未満の扶養している子どもが3人以上いる世帯)への支給を緩和しています。750万~910万円未満の多子世帯に34万9200円の補助金を支給しており、就学支援金と合わせて46万8000円までの授業料は実質無料となります。700万~750万円未満の多子世帯には補助金にプラスし、入学金10万円も支給されます。

 年収500万円の世帯はどうでしょう。この世帯への国の就学支援金は39万6000円。1都3県とも、この額までの授業料はかかりません。追加で東京都は8万8000円の補助金が出ます。神奈川県は7万2000円の補助金と入学金10万円が出ます。埼玉県は7000円の補助金と、入学金10万円が出ます。千葉県は授業料の全額から就学支援金分を引いた額を免除する仕組みです。

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永野原梨香
永野原梨香

ながのはら・りか/『週刊エコノミスト』、『AERA』『週刊朝日』などに勤務し、現在、フリーライター。識者インタビューのほか、マネーや子育てをテーマに執筆中。

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