そもそも子育てって、家庭によってまったく違うものだから、人の話はあまり参考にならない気もします。何歳までは叱らない方がいいとか、自由にさせた方がいいとか、いろいろな意見がありますけど、それはたまたま叱らんくてもいける子を育てた人の成功例じゃないかと思うんですよ。叱らない子育てっていうけど、うちの子見てから言ってくださいよ、と(笑)。
――子育ては、つい人の意見や情報に踊らされがちになりますよね。
人から言われたこと、どこかから得た情報を鵜呑みにして、それが間違っていたときが一番しんどいと思います。たとえ正解じゃなかったとしても、僕は娘たちの親である僕や奥さんの考えに賭けたい。子育てで迷ったときに、口コミを参考にするのが好きな人もいるだろうし、それはそれでいいと思いますが、僕たち夫婦にはそういうやり方が向いていないんです。
伝えたい気持ちがなければ 言葉は届かない
――話は変わりますが、石田さんはNSCの講師として若手芸人の育成にも携わっています。講師の仕事を引き受けた理由はなんでしょうか?
NSCの講師を引き受けた理由の一つは、芸人になりたくてもなれない人を1人でも減らしたいと思ったからです。井上と組む前、僕は高校の同級生の中でも一番面白い2人とトリオを組んでいました。ネタを僕が考えて何度かオーディションも受けたものの合格できず、結局トリオは解散。自分の力不足で才能のある2人を芸人にすることができなかったことは、今でも後悔として残っています。
――石田さんは今、ご自身のお子さんだけでなく、芸人さんも育てているんですね。
「面白くない人でも面白く見せることはできる」というのが、僕が芸人を続けてきた結果、たどりついた持論です。そのことをNSCの若手芸人に理解してもらうためには、言葉を細分化して、わかりやすく話す必要があります。「伝えたい」という気持ちがなければ、何を言っても相手に届かないという点は、子育ても芸人の育成も、漫才も同じ。そういう意味では、仕事の経験は子育てに生かされるし、子育ての経験も仕事に生きているとも言えますね。
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