「習い事をたくさんやっていてどれもやめようとしない」「なかなか上達しないが続けるべき?」など子どもの習い事に関する悩みは多くあります。AERA with Kids+の連載「小川大介の『才能が見つかる!』子育て相談」で、教育家で、見守る子育て研究所所長の小川大介さんに習い事との付き合い方、親としての心がまえについて聞きました。(聞き手/AERA with Kids+編集長 鈴木顕)
【マンガ】こだわりが強すぎる6歳男の子が「こだわらなくて大丈夫」になった状況作り 3つのポイント(全11枚)習い事の意義は「スキル」より「自分発見」!?
――最近、習い事に悩む親御さんが増えているようです。「AERA with Kids」本誌で特集を組んだ際にも大きな反響をいただきました。背景としてどのようなことが考えられるのでしょうか。
僕もここ10年くらいで増えたと感じます。理由はいろいろありますが、「非認知能力」という言葉の広まりとも関係していると思います。
――たしかに「認知能力」(学力や知能)だけではなく「非認知能力」(協調性や忍耐力など、数値で測定できない力)をつけようという話は、習い事と直結しやすいですね。
習い事から得られるものは、一つはスキルや知識の習得。二つ目は「体験」すること。三つ目に、習い事を通して「自分を発見する/発見してもらう」ことがあると思います。習い事に悩む親御さんは、意識がスキルに偏りすぎているのかもしれません。できることが増えるのはもちろんいいことなんですけどね。
1960年代にアメリカで開始され、40年間にわたって教育的介入の有無が子どもの生育にどんな影響を及ぼすかを追跡調査した、ヘックマン教授の「ペリー就学前プロジェクト」という研究によれば、教育的リスクのある層の子どもにとって、非認知的領域での効果は大きく見られた一方で、各種スキルといった認知的能力についてはほとんど影響がないことがわかっています。つまり、他の子より少し早くやったことが30、40年後の人生に大きな影響を及ぼすかというと、あまり関係ないのですね。
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