表現したい感覚や姿があって、その姿を撮って自分自身でも見て確認したい。それ以上に「出したいもの」がある。内面のエネルギーや表現欲求が強いのではないでしょうか。ゲームで負けると大泣きするというのも、その世界にのめり込んで勝つことをイメージしているから、負けた瞬間に自分の世界がガラガラと壊れた感じがするんだと思います。

 一方で、「行動の傾向」としては結構「慎重さ」を感じます。字をきれいに書くというところから、完璧主義度の高さが読み取れます。表現したいエネルギーは大きいが、きちんと完成させたい、確認しておきたいという慎重さを感じさせる面があります。

子どもに合った指導法は一人ひとり違う

――このお子さんはピアノをやりたくて始めたのに、なぜ教室を嫌がるのでしょうか?

 この子がピアノをやりたいと思ったきっかけは、学校の音楽の先生なのか、動画で何かを見たのか、おそらく何かでピアノ演奏を見て「自由に表現するのっていいな」と感じたからではないかと思います。「音を出せる」ことにワクワクを感じて「やりたい」と思ったのではないでしょうか? 

 彼女の中には、音として表現するのと同時に、「指を動かしている自分の姿」を見たいという気持ちがあったのかもしれません。ピアノって、鍵盤を叩く感覚や音が出る感覚のほかに、指が踊るように鍵盤をタッチする様子を見るのが好きという子もいるんです。子どものさまざまな感覚を満たしてくれる素敵な楽器なんですよね。

 このお子さんは、決まったもの(課題)を練習させられるとは思っていなかったのではないでしょうか。彼女に完璧主義の傾向があると想像すると、「課題をやるなら間違えたくない」という気持ちが芽生えているかもしれない。だから、先生に「そこ違うよ」と指摘されると不快なわけです。

 親御さんは、担当の先生がどういう教え方をする人かはぜひ確認したほうがいいでしょう。褒めて楽しませてくれる先生なのか、違うところを指摘し続けてきっちり教える先生なのか。後者だとしたら彼女はいやでしょうね。彼女の場合はピアノが嫌いなのではなく、先生の教え方、関わり方が合わないだけという可能性もあると思います。

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