「確かに赤みは消えることが多いのですが、例えば皮膚の盛り上がりが大きいと、皮膚表面が引き延ばされているので、赤みが消えたあとも皮膚のたるみだけが残ってしまうことがあります。これをなくすには、皮膚を切除する手術を受けるしかありません。しかしピークを迎える前、生後数カ月で治療をすれば、あとに残らないようにできる可能性が高くなります。盛り上がりが大きい、衣類で隠れない目立つ場所にあるといった場合は、早めに乳児血管腫の治療経験が豊富な病院で診てもらうことをおすすめします」
消えないあざは保険で治療可能
一方、単純性血管腫やおしり以外のところにできる色調の濃い青あざ「異所性(いしょせい)蒙古斑」、おでこやその周辺などにできる点状の青あざ「太田母斑」、茶あざ(扁平母斑:へんぺいぼはん)は、成長しても消失しない可能性が高いあざです。多くはレーザー治療が効果的で、保険診療が可能です。ただし、扁平母斑の場合は効かないこともあります。
「異所性蒙古斑は、乳児の早い段階でレーザー治療をするほど、よく効きます。ただしほかのあざにも言えることですが、成長につれて皮膚が伸びると色も薄くなっていきます。このため、成長したときの色味がどの程度になるのかということも考慮して、治療の必要性を判断することが大事です」(西本医師)
また、太田母斑や単純性血管腫は、治療をしたとしても再発する可能性が大きいと言われています。扁平母斑も再発する可能性があります。
成長するとどの程度薄くなるのか、どのタイミングで治療を受けるべきかについて、西本医師は「子どものあざを専門的に診ている医師に相談してほしい」と言います。あざの治療は形成外科や皮膚科の領域ですが、子どもの場合はレーザー治療中に体を固定したり、成長による変化を見極めたりする必要があります。
「小児科などで紹介してもらうほか、インターネットで『子ども あざ 保険 住まいの地区名』で検索してみてください」(西本医師)
(取材・文/中寺暁子)