イスラム組織ハマスによる大規模攻撃の報復として、イスラエル軍がパレスチナ暫定自治区のガザ地区を攻撃。ガザでは民間の人々が大勢亡くなっており、国際世論からイスラエル側の攻撃に批判や非難の声が集まっています。そもそもなぜこんな事態が起きているのでしょうか。ジャーナリストの一色清さんが、イスラエルとパレスチナとの歴史的問題から解説します。子育て・教育情報誌「AERA with Kids 2023年冬号」(朝日新聞出版)から紹介します。

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 発端は、2023年10月7日にパレスチナ側の「ハマス」というイスラム組織が、ロケット弾でいきなりイスラエルを攻撃したことです。さらにハマスの戦闘員がイスラエル領内に侵入し、イスラエルの市民200人以上を捕虜としてさらっていきました。

 この攻撃で数百人のイスラエル市民が亡くなり、イスラエル側がただちに報復攻撃を開始。ハマスが実効支配しているパレスチナ自治区のガザ地区に、空爆と地上侵攻による猛攻撃を行っているのです。

 ガザ地区に暮らすパレスチナ人の大半はイスラエルの建国で住む場所を追い出されたパレスチナ難民とその子孫たちです。今回のイスラエルの攻撃は、そうした人たちが暮らす難民キャンプや病院を空爆するなどしており、ガザ地区ではすでに2万5千人以上が亡くなったとされています(24年1月時点)。その半数近くが子どもたちです。また電気やガス、水道も止まり、支援物資もなかなか届かない、悲惨な状況です。

 イスラエルとパレスチナは、これまでも衝突してきました。今回の軍事衝突はハマスの攻撃から始まっているのですが、問題はガザ地区に住む民間の人々が攻撃の標的にされていることです。そのため「イスラエル側は国際人道法に違反している」として、世界からの批判が強まっています。

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八木沢由香
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