問題の歴史的背景は

 イスラエルとパレスチナの問題は、約2千年前までさかのぼります。当時パレスチナ地方に住んでいたのはユダヤ人でしたが、ローマ帝国の侵攻で国を追われ、世界に離散。その後長い間各地で差別や迫害を受け、19世紀末に自分たちユダヤ人の国をつくろうという「シオニズム運動」が起こりました。

 第1次世界大戦の際、イギリスが国家建設を約束しますが、同時にイギリスは、パレスチナを含むアラブ地域のアラブ人にも独立国家建設を約束し、結局ユダヤ人の国家建設は果たされませんでした。第2次世界大戦ではナチスによるホロコーストが起こります。この悲劇に世界から同情が集まり、1947年に国連で、パレスチナにユダヤ人国家をつくることが決議され、イスラエルという国ができました。

 一方でパレスチナに住んでいたアラブ人(パレスチナ人)は住むところを失い、これに怒った周辺のアラブ諸国とイスラエルの間で、48年から73年までに4回の中東戦争が勃発します。 

 事態の収束に向け、93年にアメリカとノルウェーの仲介でイスラエルとパレスチナのトップが会い、2国家共存を目指す「オスロ合意」が成立。ガザ地区とヨルダン川西岸地区は、パレスチナ自治政府が治めることになりました。これに不満なのがハマスで、2007年からガザ地区を実効支配し、たびたびイスラエルに攻撃を仕掛け、衝突が繰り返されたのです。イスラエル側もガザ地区に高い壁を建設して外との往来を封じ、ガザ地区は「天井のない監獄」と言われる状態に置かれています。

これから、どうなる?

 イスラエルとパレスチナの間には、「自分たちの国づくり」を巡る根深い確執があります。今回のハマスの突然の攻撃も、自分たちの味方だったアラブ諸国が、イスラエルと国交を結び始めていることへの焦りによるものといった見方もあります。

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