スマホやタブレット、パソコンの利用が遊びでも学びでも当たり前になった子どもたち。画面を見るときに背中をまげてのぞき込む姿、気になりませんか? 子どもの「姿勢」を守るために、家でできる対策を専門家に伺いました。「AERA with Kids 2023年秋号」(朝日新聞出版)からご紹介します。
【チェック】この動き、ちゃんとできる?子どもロコモの調べ方※編集部注:外部配信先では図表などの画像をすべて閲覧できない場合があります。その際はAERA dot.内でご確認ください。
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姿勢や運動に影響する「子どもロコモ」とは?
骨や関節、筋肉が衰えて、立ったり歩いたりなどの運動機能が損なわれることを「ロコモティブシンドローム」と言います。もともと高齢者に見られるものでしたが、近年、子どもにも広がりつつあることをご存じでしょうか。整形外科医の林承弘先生は、その現象を「子どもロコモ」と呼びます。
「近年は公園でのボール遊びや犬の散歩が禁止されるなど、子どもが安全に外遊びをする場所が減ってきました。代わって増えたのが、スマートフォンやタブレットの使用です。じっと画面を見つめる時間が長すぎると、発達段階に相応の体力が育ちにくくなります」
小学生を対象にした調査で「疲れを感じる」と回答した小学生は約8割に上ります。
「子どもの頭部は3~4㎏ほどの重さですが、首を15度ずつ前傾するたびに負担が倍増します。仮に60度の角度で下を向きながらタブレットを見ていると、5倍の20㎏ほどの負担が首にかかるわけです。そこから肩こりや腰痛などにつながることもあります」
今は小学校の授業でもタブレットを使用する時代。子どもの姿勢への影響は大きな課題と言えます。
姿勢不良とけが、運動機能低下の関係
林先生は、けがなどで受診してくる小学生にいくつかの共通点があると感じています。例えば、朝礼で立っていられない、しゃがむのが苦手、倒立ができないなど。
「筋力が十分ではないため、正しい姿勢がとれず、体の柔軟性も低い可能性があります。最近はキャッチボールがうまくできない小学生も珍しくないのですが、運動不足で空間認知能力が未熟なのではないかと考えられます」
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