彼女は長男が赤ちゃんの頃にはじめてできたママ友で、いつ会っても明るい笑顔で友達も多い、見た目はスポーツ万能そうな陽キャ。コミュ障陰キャの私とは全然違う明るい人生を歩んできたのだろうな、と思っていたんです。しかし彼女の運動会の思い出を聞いてみると、まるで私の記憶を辿っているかのように共通点だらけ。

 体育全般が苦手だった彼女にはスポーツ万能のお姉さんがおり、小学校の運動会では家族にいつも比較されて自己肯定感ゴリゴリに削られる地獄の時間だったそう。私にはきょうだいはいないものの、毎回ランチタイムは「あなたは闘争心が足りないからダメなのよ」「鈍臭いからスタートダッシュが遅いのよね」と母のダメ出しタイムになっていたことを思い出しました。

「他の教科ではこんなことって無いのに、運動が苦手なだけでこんなに人格否定されてメンタル潰される運動会ってなんだったんだろうね……」

 と2人揃ってため息をついたのでした。

 そんな彼女と公園遊びに出掛けたある日、子どもたちが使っていないバドミントンセットが転がっているのを見て、

「……ねぇ……やってみる……?」

 どちらから言い出したのか忘れましたが、絶望的運動オンチ同士のバドミントン対決が実現しました。まぁ、まず当たらない、偶然当たればホームラン、羽根どっか行く。公園の端っこまで取りに走って戻ってようやく再開。ここにちょっとでもできる人が入ったら相当イラつくであろう永遠にラリーの始まらないラケット振り回し大会でした。

 でもね、本人たちは羽根追っかけて走ってまた空振りして……の繰り返しに腹がよじれるほど笑っていました。

「あー! 体動かすって楽しいねー!!」

 バドミントンの目的は全然果たしてないのに汗だくおばさん2人の出来上がり。運動できる人には理解不可能でしょうが、私たちは大満足だったんですよ。見ていた両家の夫たちも妻のへっぽこぶりがツボに入り動画を撮りながら笑い出し、大人たちがドタバタしながら大笑いしているのを見て、虫探しに夢中だった子どもたちもいつの間にか集まってきて最後は一緒に楽しみました。

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