「ハイレベルな要求をされていることも、大変な努力の継続が必要なことも、子どもはよくわかっています。しかし、自信のなさが根本にあるため、不安とプレッシャーが募り爆発してしまうのです」

 親が進路を義務づける背景には、親自身の学歴への強い劣等感が潜んでいるケースもあるそうです。西村先生の経験では、これは母親より父親に多く、周囲には絶対的な自信をもっているように見せていても、自身が抱いてきた劣等感を子どもに味わわせたくないがために悪循環に陥る人が多い、といいます。

「国立医学部にこだわる私立医学部出身のお父さんが、『私立の先生は肩身が狭い』とよく言っていました。医師の世界にも学歴は関係することを痛感しているが故に、子どもには国立医学部を目指すように強くすすめていたようです。どの親御さんも、決して子どもを苦しめたいわけではありません」

親子で一緒に共感できる目標をもつ

 では、「勉強は我慢しながらやるもの」というイメージを子どもにもたせないように、するにはどうしたらよいのでしょう。西村先生は、「新しいことを知る喜びや、勉強の必要性を感じられる取り組みが重要」といいます。そのためのアクションとして、親子で一緒に共感できる目標を立てるといいそうです。

「将来、何になりたいか子どもに尋ねてみてください。その答えに対して『やってみれば』、『あなたならできるよ』という声かけをするとよいでしょう。年長者としての知識を添えて、『それなら、こうするといいかも?』という話をしてあげると、親子で一緒に目標に向かうことができます」

 中学受験の志望校を親が決めるのもNG。親が行った説明会の感想を伝えるなどして、子どもの興味をひくのはOKですが、自分で選ばせる形にすることが大事だそうです。本人が気に入った学校があれば、『頑張ってごらん。サポートするよ』と伝えるのも一つの手。子ども自身が自分で作った目標であれば、プレッシャーを感じることなくポジティブに向き合えるといいます。

「たとえ、その受験に失敗したとしても、チャレンジは決して無駄になりません。しかし、それが押しつけられた目標だと、ネガティブになります。自分主導なのか親主導なのか、どちらか次第で心もちは大きく変わります」

(東山令)

著者 開く閉じる
東山令
東山令
1 2 3