「詰め込み」「偏差値」というイメージが強い中学受験。「受験のための勉強は子どもの将来に役に立つの?」「難易度より、子どもを伸ばしてくれる学校を選びたい」といった悩みを抱えている親御さんも増えています。思い切って「偏差値」というものさしから一度離れて、中学受験を考えてみては――。こう提案するのは、探究学習の第一人者である矢萩邦彦さんと、「きょうこ先生」としておなじみのプロ家庭教師・安浪京子さんです。今回は6年生の最終的な志望決定についてのご相談です。

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■全然たいしたことじゃない

安浪:この志望校って第1志望のことですよね。この模試はおそらく9月のものだと考えると、みなさんこんなものだと思いますけどね。偏差値が5届かないなんて、全然たいしたことないですよ。たとえ10離れていても志望校の過去問との相性や対策のやり込み方によっては何とかなる学校もあります。模試の偏差値はこの後も乱高下しますから、あまり一つの模試の結果にこだわりすぎないほうがいいと思います。

矢萩:僕もほぼ同じ意見ですが、少し違う視点からお話すると、志望校って何だろうっていうところはちゃんと考えたほうがいいと思うんです。この文面を読むと、受験する学校の中で、できるだけ偏差値の高い学校のことを志望校と呼んでしまっているんじゃないかって感じるんですね。本当に行きたい学校を志望校としているなら、偏差値が何ポイント足りないとか関係なく、合格に近づけるように努力すればいいだけです。まだ時間はあります。本気で行きたくて、本気で準備するなら今からでも5ポイントくらい十分ひっくり返せます。

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安浪京子 矢萩邦彦
安浪京子 矢萩邦彦

安浪京子(やすなみ・きょうこ)/「きょうこ先生」として親しまれている中学受験専門カウンセラー、算数教育家。佐藤亮子さんとの共著『親がやるべき受験サポート』(朝日新聞出版)が好評。最新刊は『中学受験にチャレンジするきみへ 勉強とメンタルW必勝法』(大和書房)。

矢萩邦彦(やはぎ・くにひこ)/「知窓学舎」塾長、多摩大学大学院客員教授、実践教育ジャーナリスト。「探究学習」「リベラルアーツ」の第一人者として小学生から大学生、社会人まで指導。著書に『子どもが「学びたくなる」育て方』(ダイヤモンド社)『新装改訂版 中学受験を考えたときに読む本 教育のプロフェッショナルと考える保護者のための「正しい知識とマインドセット」』(二見書房)。

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