よしおも、30代前半のころ後輩に「こうしたほうがいい」「ああしたほうがいい」って言ってしまっていた時期があったよ。自分がある程度テレビにも出られた経験があって、それは、行動した結果だと思っていたから。
家族だと環境がほとんど同じだから、余計に「頑張ればできるはず。できないのは頑張っていないからだ」って思っちゃうのかもね。でも本当は得意なことも好きなことも人それぞれなはず。たとえ家族であってもね。
兄弟だって、全然性格が違ったりするでしょ? よしおにはお兄ちゃんがいるんだけど、正反対の性格をしているよ。兄はインドア派で、本を読んだりゲームをしたりするのが好き。食べるものにもあまり興味はないタイプ。反対によしおはからだを動かすのが好きで、学級委員長とかやる目立ちたがり屋。ランニングや筋トレが好きだけど、兄はむしろ嫌いなんだよね(笑)。
自分が苦手なこともちゃんとわかっているアラパだから、「この問題は簡単だ」とか「誰でもできるよ」って言われるのはすごくつらいよね。家族もきっと悪気はないんだろうけど、アラパの苦しさには気づいていないのかもしれないな、ってよしおは思ったよ。
この相談文からも、アラパは優しくて気遣いができる性格っていうことがわかる。だから、家族にも反論したり、嫌だって伝えたりはしていないのかな? 優しく受け止める性格はすごく素敵だけど、家族の言葉に悩んでいること、嫌だと思っていることは、伝えてもいいのかな、って思ったよ。なんだかんだ気持ちって言葉にしないと伝わらないからね。
■どんな場所で生えてもいい!
さっき「得意なことも好きなことも人それぞれ」って話したけど、アラパの得意なことや好きなことって何だろう? 「難関大学を出ている」って、たしかにすごいことかもしれないけど、試験に受かるっていう話だけとも考えられる。
植物で例えるなら、決まった花壇や植物園に入るための試験だとよしおは思うんだよね。黄色くなきゃダメとか、高さが一緒じゃないとダメとか、そういう性質を持った植物が入れる場所。じゃあ、そこに入れない雑草はダメかと言ったら、そんなことは絶対にない。
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