宇宙飛行士として多くのミッションをこなしてきた山崎直子さん。子ども時代の体験が、どのように自分の夢へとつながってきたのでしょうか。お話を聞きました。現在発売中の「AERA with Kids 2023年夏号」(朝日新聞出版)から抜粋してご紹介します。

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■夢のきっかけはいろいろなところに散らばっている

 宇宙旅行ビジネスや国際宇宙産業プロジェクト、そして今年4月に発表された、14年ぶりの日本人宇宙飛行士誕生のニュースなど、宇宙を年々身近に感じられるようになってきました。子どもが成長するころはさらに宇宙との距離が縮まり、同時にさまざまな課題に直面することも出てくるでしょう。「宇宙への思いを心に刻む体験」「子ども時代の経験が夢へとつながること」について、かつて宇宙飛行士として活動をしてきた山崎直子さんはこう話します。

「子どものころはたくさんのことに興味があって、動物や恐竜も好きで飼育係をしていました。小学校の2年生くらいまで北海道に住んでいて、観望会に参加したんです。そのときに天体望遠鏡で見た月のクレーターや土星の輪に感動したのをよく覚えています。自分で見たり触ったりすることってすごく記憶に残りますよね。壮大で美しかった北海道の空はずっと心に残っています」

 そんな山崎さんの興味を一つずつつなげてくれた背景に、親御さんの声かけがあったと言います。

「親が『宇宙が好きなんだね』と気にかけてくれて『新聞でこんな記事が載ってるよ』と教えてくれて、プラネタリウムにもよく連れて行ってもらいました。自分はただおもしろいことに夢中になっていましたが、興味の世界を広げてもらえたと感謝しています」

 子ども時代の感動体験は「少し難しい学びへの原動力にもなった」と山崎さん。

「小学生のときはカール・セーガンの『コスモス』を読んで宇宙の歴史を解明していく様子に引き込まれましたね。高校物理ではアインシュタインの(E=mc2※)が出てきたとき、『宇宙戦艦ヤマト』で見た『反物質と物質が合わさって対消滅が起こって敵を倒したのはこれか』と感動してました」

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AERA with Kids編集部
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