モンテッソーリ教育の第一人者である伊藤美佳さんは、子どもの主体性に任せ、言動を見守ることで才能を伸ばせると言います。家庭でできるわが子の才能の芽「九つの知能」の伸ばし方を、『AERA English特別号「英語に強くなる小学校選び2023」』(朝日新聞出版刊)から紹介します。

MENU 欠点に見える部分が実はその子の才能  ルールも定めて信頼関係を構築

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 イタリア人幼児教育者のマリア・モンテッソーリ女史は『子どもには自己教育力が備わっている』と述べています。つまり、自分で成長できる力を持っているということです。生まれてからおっぱいを飲んで寝返りをして、ずりばいからハイハイをして……という成長の流れがプログラミングされていますので、その自然な成長に沿ったサポートが大事です」

 これから子育てを本格化させる親に向けてこうアドバイスするのは、伊藤美佳さんだ。モンテッソーリ教育にのっとったベビースクールやキッズスクールを運営する「輝きベビーアカデミー」の代表を務める。モンテッソーリ教育は子どもの意思を尊重することで自立を促し、才能を伸ばす教育方法だ。

「しつけ」という言葉があるように、親は子どもを自分の支配下に置こうとしがちだ。しかし、それでは子どもに備わる能力は存分に伸ばせない。伊藤さんは教育者として、そして母親として、子どもを一人の人間として尊重するモンテッソーリ教育にふれた経験から、次のような実感を得たと話す。

「人間は、自分がやりたいと思うことをやったときに大きなエネルギーを放出し、集中してやり遂げることができます。その成功体験が自信や自己肯定感につながり、『また挑戦しよう』と思うようになります。自分の意思を尊重されて育つことで、ほかの人を信頼できるようになります」

欠点に見える部分が実はその子の才能 

 そうは言っても、子どもが思いどおりに行動してくれずにイライラする、という経験をしたことがある親は多いはずだ。そんなときに参考にすべきものが、ハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナー教授の「多重知能理論」をもとに伊藤さんが導き出した「九つの知能」だ。

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池田敏明
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