■“読まず嫌い”の弟たちに読書をすすめる工夫は?
ぎん太さんの上の弟は学習系の本は好きでも、物語系は苦手。
「そこで母は物語を途中まで読み、“続きが気になったら自分で読んでね”と渡したんです。読み聞かせで読書のハードルを下げたことで自ら手にとるようになりました」
一方、下の弟は読書の大敵・YouTubeが大好き。そこでお風呂に入るとき、ぬれてもいい本を渡しているそう。
「YouTubeを禁じるのではなく、本しか娯楽がない状況を作るんです。“宿題終わらないと読んじゃダメ”と興味をもちそうな本を目の前に置くのも効果アリ。禁じられると読みたくなるようで、こっそり読んでいます(笑)」
■今振り返る僕が本好きの子どもになった理由
1)家族で「物語リレー」を楽しんだ
母が寝かしつけのときに編み出したのが<物語リレー>。たとえば、弟が“むかしむかし、ぎん太という貧乏な男の子がいました”と言うと、僕が“ぎん太は牛を売りにいきました”と続きを作り、そのまた続きを母が作って、家族でひとつの物語を作るというもの。前の人の話にあわせてどう展開するのか考えるのが面白く、白熱して結局眠れなかった思い出があります(笑)。そこから物語の面白さに目覚め、本を読むのも文章を作るのも好きになりました。
これは国語以外でも役立つと思います。英検の2次試験や大学入試でも「写真を見て、英文で物語を作りなさい」という問題があるし、数学でも必要な論理的思考力がつきます。何よりも楽しいのでおすすめです
2)読んだ感想を言い合った
母は僕の読む本を一緒に読んでいたので、“あそこが感動した”“私はこう感じたよ”と思ったことを言い合っていました。『星の王子さま』のような難解な本も、母の感想を聞いたことで、いろんな受け取り方があるんだなと、本の奥深さを知った気がします。
同時に母からは、<親の感想=必ずしも正解ではない>ことも教えてもらいました。自分なりの読み方ができたとき、読書ってぐっと楽しくなる。本の感想は、その人の人間性を表していて面白いんです。今は、同級生と本の感想を言い合っては、その人の考え方に共感したり、刺激を受けたりして楽しんでいます。
※「AERA with Kids 2023年春号」ではこのほか、ぎん太さんが「小学生のときに読んで学びにつながった」と考える本などを紹介しています。
(取材・文/清 繭子)
朝日新聞出版