高濱 クオリティータイム。

中室 「質」は、一緒に過ごしている時間のうち、「子どもを中心とした活動か」ということや、「親子の間で適度な会話や交流があったか」ということで計測しています。会話をしながら一緒に食事をするのは質の高い時間に分類されますが、ただテレビを一緒に見ているだけでは質の高い時間には分類されません。こうやって分類してみると、平日の「質の高い時間」は、子どもと過ごす時間全体のうちの3分の1程度のようです。そして、このクオリティータイムの多寡が子どもたちの将来の成果に影響を与えていることを示した研究があります。

高濱 つまり親子のコミュニケーション時間ですね。会話だったり、本の読み聞かせや、親子での外遊びとか。むかし「話し声、笑い声、歌声」がたっぷりある家庭が子どもにとって素晴らしい家だと言っていた人がいたなあ。そうなると、体験の質をどう上げるかが肝心なんですね。ただそれが難しいのも事実。ママもパパも忙しいし余裕がない。おじいちゃん、おばあちゃんはどうですか。

中室 祖父母が子どもの発達や健康に良い影響を与えるということを示した研究はありますが、一方でイギリスのデータを用いた研究では、祖父母に預けるのと、保育所や幼稚園のようなフォーマルな施設型の幼児教育では、後者のほうが子どもの発達に与えるプラスの効果が大きいことがわかっていますね。

※「AERA with Kids 2023年春号」から抜粋

(構成/篠原麻子)

撮影/矢部ひとみ
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AERA with Kids 2023年 春号

AERA with Kids編集部

AERA with Kids 2023年 春号
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篠原麻子
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