ほぼ学年全員が受験する高校受験と、ごく一部の子だけが受験する中学受験では、偏差値に大きな差が出るといいます。必然的に、中学受験は優秀な子どもたちばかりが集まる厳しい戦いになるようです。

「小学校で成績がよくても中学受験だと上のほうにいけないというのは当たり前なのです。ボリュームゾーンとおっしゃっている方には、『そんなことないです。おたくのお子さんは十分できる子なんですよ』と言いたいです」

 偏差値は塾ごとに異なるため、自塾以外の偏差値表と照らし合わせると立ち位置がわからなくなるという方も多いと思います。俯瞰的に立ち位置を知りたいときは、何を指針にするとよいのでしょうか。西村先生はこう語ります。

「日能研と四谷大塚の偏差値は大体近いので、いずれかを基準に考えるとよいでしょう。両者とも模試で人数を多く集めているため、参考になるはずです」

■中学受験の幸せは偏差値で決まらない

 娘はボリュームゾーンで中学受験を終え、第一志望だった中堅校に通っています。成績の乱高下を繰り返しながらも地道に勉強を続けた成果であり、それは娘の精いっぱいでした。

 受験を終えた今思うのは、「中学受験における幸せは偏差値では決まらない」ということです。娘は第1志望校に合格したことと同じくらい、自分自身の成長を喜んでいます。受験を始める前は自分に自信をもてず消極的だった娘が、学力面での成長を通して自信を積み重ねていきました。自分から人に話しかけられるようになったり、リーダーに立候補するようになったりと、かつての娘にはみられない行動が増えていき、進学先でも友達と楽しく過ごしているようです。

 中学受験で得られるものは、きっと合格や進学先だけではないと思います。勉強に前向きに取り組めば、大きな自信を獲得できるチャンスになるのではないでしょうか。小学生がこんなにも遊びや欲求を我慢して努力することなんて、そうそうありません。地道な努力の積み重ねで培う自信は、志望校の合格以上に価値のあることのように思います。

NEXT偏差値の「いたちごっこ」で残る徒労感
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