また、毎年11月くらいには、「もう中学受験をやめたい」という親子からの相談があるそうだ。「中学受験がものすごいプレッシャーになり、子どもが耐えられなくなってしまうんです」と、安田さんは話す。成績が乱高下したり、塾のクラスが下がったり、受験は順風満帆とは限らない。そのたびに親も「このままでは第1志望の学校に受からないのでは」と不安になるのは仕方ないことだ。ただ、親が心がけたいのは、「あなたはちゃんと勉強しているから、大丈夫」と「根拠はなくとも認めてあげる」ことだと安田さんは続ける。
中学受験は合格を勝ち取ることだけが目的ではない。教科の勉強だけでなく、社会情勢に興味を持ったり文学作品を読んだり、豊かな学びが得られる機会と捉えたい。
「公立中学だっていいのです。どの学校に進んでも勉強は続くし、結果に関係なく受験の経験は必ず生きる。親御さんは大らかに構えてあげてください」
■志望校選びの3つのポイント
Point1 偏差値+過去問との相性 志望校の組み立て方
中学受験の受験校は平均で6校ほど。その6 校を模試の偏差値を基準に決めるのであれば、挑戦校や本命校は偏差値+5まで、安全校は− 10までと考えておこう。安田さん曰く、+5の根拠は「目標として受験勉強してきた学校は後悔のないように受けておきたい。ただし『まぐれ』はない」とのこと。−10の根拠は当日の体調不良や突然の出題傾向の変化のほか、「隣の子の鉛筆を動かす音が気になって集中できなかったという例も。12歳の子どもが挑むことですから、さまざまなトラブルを想定して」というものだ。
また、試験問題には学校ごとに特徴があり、合格には問題傾向との相性も大きく影響してくる。学力が定着してくる6年の秋以降には志望校の過去問を解いてみて。自分にとって得点しやすい問題かどうかを調べてみよう。
Point2 本番までの腕試しと特待入試への再挑戦
2月1日に第1志望の学校を受ける前に、多くの受験生は1月に行われる埼玉、千葉、寮のある学校の入試で腕試しをする。ここで合格しておけば、安心して第1志望に臨むことができるだろう。試験1回分の受験料で受かるまで何回も受験できる学校もある。またすでに合格を手にしつつ、2月5日以降の試験で、特待生の権利を得るために再チャレンジするパターンも。特待生になれば授業料の全額もしくは半額が免除になる。長期戦にはなるが、より志望順位の高いところが入試を構えていたらチャレンジしたい。
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