日本全国、どこでも同じものを食べていると思いがちだけど、統計データを見ると、地域による違いがあることがわかる。お正月の食べ物も地域によって差があるんだ。似ている地域、異なる地域を比べて、その理由を考えてみよう。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」2020年1月号は「発見!47都道府県ランキング」を特集。各都道府県の特徴を詳しく分析した。そこに掲載された記事を紹介する。

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 みんなが普段食べている肉じゃがやカレーライスには、何の肉が入っている? 東日本では豚肉が多く、西日本では牛肉が多い。年末年始に食べる「年取り魚」も、東日本は主にサケ、西日本はブリと、東西で分かれている。

 この違いは、消費量の違いを示した都道府県別の分布図にもはっきりと表れている。豚肉の消費量(年間、1世帯当たり)が最も多いのは北海道、次いで青森県、新潟県。サケの消費量(同)が最も多いのは青森県、次いで北海道、岩手県。豚肉もサケも東日本で消費量が多く、西日本では少ない。

 一方、牛肉の消費量(同)が最も多いのは京都府、次いで奈良県、和歌山県。ブリの消費量(同)が最も多いのは富山県、次いで石川県、島根県。牛肉とブリは西日本で消費量が多く、東日本では少ないことがわかる。この違いはどこから来るのだろう?

 西日本ではかつて農耕に牛が使われていたので、牛は身近な食料だった。東日本では農耕に馬を使っていたけれど、馬は食用に向いていないため、簡単に育てられる豚の飼育が広まった。

 サケの消費量が多い東日本には、サケが遡上する川が流れる。ブリの消費量が多い西日本は、ブリの漁獲高も多い。身近にとれる食料をよく食べるうちに、その地域の食文化となり、今に伝わっていると考えられる。

 気候が理由で、東西で好みが分かれる食べものもある。干物はその一つ。東日本で消費量が多く、1位青森、2位岩手、3位秋田など上位を雪国が占める。冬の保存食として干物が作られたことが、今も継承されているんだ。これらの地域は、保存食作りに欠かせない味噌や塩の消費量も多い。

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AERA編集部
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