勉強をしないわけではないのですが、するのは私が言ったときだけ。自分のための勉強なのに……。私が甘やかしたせいか、息子は何事にも積極性がなく、おとなしくて、のんびりしているので、将来が心配になります。(小4男子の母)
【石田先生の答え】
これは男の子のお母さんからよく受けるご相談ですね。部屋の片づけも翌日の学校の準備も親任せ、勉強も宿題もやるべきときに「やりなさい」と言われて育ったタイプが多いようです。勉強についても自主性に欠ける傾向があるかもしれません。
ただ私が、親御さんに「手をかけすぎでは?」とご指摘すると、「じゃ、これからは子どもに全部やらせます」と急に手を離す方がいらっしゃいますが、それでは何の準備もなくサバンナに放り込まれるようなもの(笑)。
まずは、どうして親御さんが言うのをやめるのか、子どもにきちんと説明し、心の準備をさせましょう。「ずっとお母さんが勉強しなさいと言っていたら、言われないとできない子になっちゃうよね。中学生や大人になっても今のままだったら、困るよね。これからは自分でできるようになろうね」と伝えます。
そのうえで、例えば、今まで「勉強しなさい」と声かけし、準備から片づけまで手伝っていたのなら、まずは宿題の準備や片づけをやめる、次に声かけをやめるなど、段階的に親の手を離していくようにできるといいですね。
【お悩み 3】
娘はわりと真面目で、以前は私の言うことも聞いて勉強していました。それが高学年になってからというもの、何をどう言っても聞いてくれません。本当は学校以外の勉強も増やしたいのですが、親子関係も心配です。(小5女子の母)
【石田先生の答え】
どうやら親子関係がこじれてしまっているようです。高学年ともなれば、「こうしたい」という自我や自立心が芽生えてきます。まずは親子の関係づくりを見直し、勉強を増やすのはそれから考えたほうがよさそうです。習慣づけはお互いの信頼関係が80パーセントだと私は考えています。子どもが親を信頼していないのに、親が注意しても、受け入れられるはずがないですから。
信頼関係といっても難しく考える必要はありません。信頼関係はコミュニケーションの量、つまり会話量に比例します。そこで重要になってくるのが日々の雑談。勉強の話はどうしてもタテの関係になりがちなので、勉強以外の話題にしてヨコの関係を意識します。ほぼ口をきかない子どもと雑談するのは難しいと思えるかもしれませんが、ポイントは無理に学校の様子を聞かないこと。天気、近所の話など、たわいもないことでいいのです。最初のうちは反応がなくても、続けることが大切です。
信頼関係を築くのには少し時間がかかるかもしれませんが、やがて子どものほうからも勉強や学校生活について、話してくれるようになってきます。
本誌では、その他の学習習慣の悩みにも詳しく答えています。(取材・文/阿部桃子)
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