話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』では、毎号、一つのスポーツを取り上げて、やっても見ても楽しくなるうんちく(深~い知識)を紹介するよ。11月号では、フェンシングを取り上げました。
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<競技の内容>
西洋式の剣術から発達したスポーツ。競技はピストと呼ばれる細長いコート上で行われる。1対1で互いに剣を片手に持ち、定められた有効面を突き、斬ることによって得点となる。競技用の剣はフルーレ、エペ、サーブルの3種があり、使用する剣の名がそのまま種目名となっていて、それぞれ有効面などに違いがある。
<フェンシングのうんちく5連発>
(1)掛け声はフランス語
フェンシング用語の多くはフランス語だ。「プレ(prets=用意)」「アレ(allez=はじめ)」の号令で試合を始め、「アルト(halte=やめ)」で中止される。試合中、例えば防御後に返し技の「突き」が決まると、「パラード(parade=防御)」「リポスト(riposte=防御の後に行われる攻撃)」「トゥシュ(touche=突き)」と続けて言う。
(2)細長い試合場は城内の廊下がルーツ
試合はピストと呼ばれるコートの上で行われる。ピストとはフランス語で「滑走路」の意味で、幅1.8メートル×全長14メートルととても細長い。これは、フェンシングのルーツである騎士の決闘が、城内の廊下で行われていたからだといわれている。
(3)フルーレ、エペ、サーブルの3種類
フルーレとエペは剣の形が似ているが、エペのほうが少し重くてつばが大きい。サーブルはつばが手の甲を覆うような形をしているのが特徴。有効面(攻撃したら得点になる体の部分)も異なり、エペは全身すべてだが、サーブルは上半身のみ、フルーレは手を除いた胴体だけだ。また、フルーレとサーブルは、先に剣先を相手に向けたりして「優先権」を獲得してからでないと得点は認められない。
(4)剣先にはボタンがある!
判定には電気審判機が用いられ、剣が相手の有効面を攻撃するとランプがつく。フルーレとエペは剣先を使った「突き」しか得点と認められないので、剣先についたボタンが押されないと電気が通らないしくみになっている。サーブルは剣先以外を使った「斬り」も得点と認められるので、剣先にはボタンがない。
(5)車いすフェンシングでスカートをはくのはなぜ?
車いすフェンシングでは一般のフェンシングと同じ電気審判機を使う。ただし、車いすのエペは一般と違って上半身だけでポイントを判定するため、剣で突いても反応しないよう、金属が使用されたスカートを下半身全体に装着している。
【車いすフェンシング】
ピストに固定された競技用車いすに座り、上半身だけで競技する。ルールは立って行うフェンシングとほぼ同じで、フルーレ、エペ、サーブルの3種目がある。ただし、フットワークが使えないため、剣さばきのテクニックやスピードがよりいっそう重要になる。
※月刊ジュニアエラ 2019年11月号より