南アメリカのアマゾンの火災が今年は特に問題になっている。背景には、ブラジルの政治体制の問題もあるという。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」11月号に掲載された記事を紹介する。
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南アメリカのアマゾンは、世界最大の熱帯雨林だ。光合成により、大量の二酸化炭素を吸収しており、地球温暖化を防ぐのに重要な役割を果たしているといわれる。たくさんの種類の生物がすむ貴重な森だが、ここで火災が続いている。
アマゾンの7~10月上旬は雨がとても少ない「乾期」だ。乾燥や雷などが原因で、自然に火がつくこともある。森林火災は毎年起きており、それ自体は珍しいことではない。
今年はなぜ注目されているのか。それは、1月にブラジル大統領に就任したジャイル・ボルソナーロ氏の姿勢に問題があると考えられているからだ。
大統領になる前のボルソナーロ氏は、「何の役にも立たないアマゾンは外国に売り払えばいい」と発言していた。貴重な熱帯森林を壊さないよう、ブラジル政府はアマゾンの開発を規制してきたが、それに反発していたのだ。
アマゾンでは以前から、農地や牧場を造ったり、金などの鉱物を採ったりするために、違法に木々を切り倒し、火をつける人たちが問題になってきた。国がこうした違法行為を監視してきたが、大統領になったボルソナーロ氏は監視機関から権限を取り上げたり、トップを辞めさせたりした。結果的に監視が弱まり、違法行為が増えたのではないかといわれている。
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