佐藤:小学校のうちは、理屈から入ってもダメだと思います。一桁の足し算なんてとくにね。「9+7は?」って言われたら瞬時に「16」って出てこないと。9のほうに1を移動して、とか理屈から入っていくより感覚が大事。感覚で覚えてから理屈は後からわかればいいと思います。

宮本:やっぱり基礎ですよね。うちの塾でも計算が苦手な子は一桁の足し算とまではいかなくても、掛け算の九九とかまで遡ってやらせることもあります。基礎的な計算がスラスラできるようになると、問題が解けて楽しくなってきます。でもこれは誰かがサポートしてあげないと。やっぱりそこは親御さんにお願いしたいところ。

佐藤:そう。受験する、しないは関わらず12歳まではしっかりやらせないと。親はめんどくさがらずに、遊びの要素も入れながら面白がってサポートすることが大事ですね。それこそトランプやこういうカードを取り入れながらね。うちは4人の子どもがいますけど、性格はぜんぜん違いました。長男はこれがお気に入り、次男は嫌い、とかね。だから子どもそれぞれに工夫しながらサポートしましたね。

宮本:そこが素晴らしいですよね。 親御さんに勉強のサポートをお願いすると、「忙しい」という人が多いですから。先日の保護者会で夜の8時から9時を子どもの勉強時間にして、家族全員その時間協力してください、って言ったら「えーっ」て空気になりました(笑)

佐藤:私は20分、って言ってます。だってどんなに忙しくても20分時間が取れない人なんていないでしょ。確かに、20分は時間があっても、「お母さんとしての時間」の中に20分を差し込むのはたいへんです。だから、毎日7時半から8時までの間って決めて、7時半になったら何があってもやる。習慣化することが大事なんです。

宮本:今度から私も20分て言ってみよう。使わせていただきます(笑)。

佐藤:きょうだいがいたらみんなでやる。お兄ちゃんだけがやって弟は遊んでいる、っていうのはダメ。弟は簡単だから早く終わるというのは、いいとしてね。とにかく同じ時間にみんなでやることが大事です。「食事が終わったらすぐにお皿を洗いたい」って言う人もいるかもしれないですけど、お皿洗うのを20分遅くするのにそんなに罪の意識を感じなくていいんじゃないですか? 私はぜんぜん平気です(笑)。

宮本:もちろん、お父さんも協力してあげないとね。いかに子どもファーストの時間を作ってあげられるか。家族みんなの協力は絶対に必要です。算数も試行錯誤が大事ですが、子育てだって試行錯誤が必要ですね。

※『AERA with Kids特別編集 算数センスを伸ばす本』より抜粋

【AERA with Kids 特別編集】算数センスを伸ばす本 (AERAムック)

朝日新聞出版

【AERA with Kids 特別編集】算数センスを伸ばす本 (AERAムック)
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AERA編集部
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