「ただし、こうした栄養素をサプリメントのように単独でとってもあまり効果は期待できません。どんなにその栄養素が優れていても、一つだけでは機能しないからです。いろいろなものといっしょに食べることで初めて威力を発揮したり、体内での吸収率が高まったりするんですよ」とアドバイスしてくれたのは管理栄養士の風間幸代さんです。
“食事のバランス”には、二つの意味があります。一つは、足りないものを積極的にとり、食べ過ぎると体に良くないものは控えるといった、栄養の過不足を整えるバランス。もう一つは、食材や調理法のワンパターンを避けるというバランスです。忙しいと、つい買い慣れたもの、作り慣れたものを優先しがち。五つのキーワードの食品も、その中から同じものばかり選ぶのではなく、該当食品を入れ替えて食卓に登場させるようにするのがおすすめです。
「でも毎日の食事に変化をつけるのは大変」という人に、とっておきのワザをお伝えしましょう。
「栄養価の高い乾物や缶詰をストックして、いつものおかずに加えれば、味や見た目はもちろん、栄養価もグッとアップ。日持ちもするので、毎日の食事作りに余裕ができますよ」(風間さん)。
前述した5大キーワード別に、ぜひ毎日の食事に活用したい食材をご紹介します。
◎たんぱく質が豊富な「ミックスビーンズパック」
数種類の豆が含まれているので、それぞれの希少栄養素もバランスよくとれるのがメリット。サラダやスープ、煮込み料理などに。
◎DHAが豊富なツナ缶、サバ缶
水煮や油漬けなので、そのままでも、素材として利用しても。炊き込みごはん、サラダやサンドイッチ、汁ものや煮物の具にぴったり。
◎鉄が豊富な「プルーン」
非ヘム鉄は動物性たんぱくといっしょにとっても吸収率が上がるので、そのまま食べる以外に、ヨーグルトに入れても。
◎カルシウムが豊富な「桜えび」
骨も殻も食べられる桜えびは、生よりも素干しのほうがカルシウム分が凝縮されている。お好み焼きやサラダのトッピングに。
発売中の「AERA with Kids夏号」では、5大キーワードが手軽にとれる食材や食べ方のコツなどさらに詳しく紹介しています。(取材・文/篠原麻子)
高濱正伸,安浪京子