平成時代から令和時代への転換期に、小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」2019年5月号では「天皇と日本の歴史」を大特集。今後、天皇・皇室のあり方はどうなるのか、「ジュニアエラ」のキャラクター・コビンが、天皇に関する著書もある関東学院大学教授の君塚直隆さんに聞いた。

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■君主のいない共和制でも独裁者が生まれる

コビン:王様(君主)って自分の思うままに国を動かすイメージがあるな。実際はどうなの?

君塚:昔は、わがままな君主が多かった。でも、そんな君主は不満がたまった人々に倒され、また新しい君主が生まれる。その君主がわがままだと、また倒される。そんなことを繰り返した末に、君主が国民の代表の議会と話し合い、憲法で権力を制限された。こうして生まれたのが立憲君主制だ。

コビン:日本もそうなの?

君塚:日本はちょっと違うんだ。日本が立憲君主制になったのは明治時代だけど、その前の江戸時代までの天皇は、権威はあるけれど政治の実権はない、雲の上の神様のような存在だった。大日本帝国憲法では、そんな天皇が、強い近代国家をつくるために担ぎ上げられ、国民一人ひとりが神様として崇めることが求められたんだ。その結果、軍国化が進んで戦争が起き、敗戦後にできた日本国憲法では、天皇は象徴になったんだ。

コビン:でも、君主がいないほうが平和な国になるんじゃないの?

君塚:そうとは限らないよ。ドイツでは、皇帝が退位して共和制になってから、ヒトラーという独裁者が生まれた。日本で戦後、天皇制が維持されたのも、その反省からだといわれている。今でも、共和制の国で、トップが独裁者となっている例がいくつもある。むしろ、君主の力が憲法で制限される立憲君主制のほうが、独裁者が生まれにくいかもしれない。それは、君主自身が、国の「顔」としてい続けるためにはどうあるべきかを考え、行動しているからでもある。

■君主同士の長い付き合いが国同士の友好関係も深める

コビン:君主制にはほかにもいいことがある?

君塚:外交という点でもメリットがあるよ。各国の王室や皇室はずっとその国の「顔」で、長い間、ほかの国々と付き合っているから、国同士の友好関係も深まりやすいんだ。もしかすると、お互い、君主としての悩みを相談し合っているかもしれない。現在の上皇さまは、皇太子のころ、ヨーロッパ各国を旅して、各国の王族たちと、親交を深めたんだ。そんな長い付き合いのオランダ、ベルギー、スペインの国王が、数年前から退位の意向を示していた。そうした姿も、上皇さまが退位を表明するきっかけになったのかもしれないね。

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AERA編集部
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