■「男系男子」のままでは天皇がいなくなる?

コビン:昔は女性の天皇もいたのに、今は男性しか認められないのはどうしてなの?

君塚:天皇は男子に限るとはっきり決まったのは明治時代だ。欧米に負けない強い国家にするため、天皇は軍隊のトップにもなった。それには、男性がふさわしいとされたんだ。ただし、当時は天皇の子をたくさん残すため、皇后以外の女性を側室としてもよかった。今ではそれは国民の理解を得づらいよね。そんな事情もあり、このままだと、天皇の位を継承する男子がいなくなって、皇室がなくなるかもしれない。海外では、同じような問題を解決するため、ルールを変えた国がいくつもある。日本でも、検討すべきだと思うよ。

コビン:ほかに検討したほうがいいところは?

君塚:上皇さまは、在位30年の記念式典で、「これから先、私を継いでいく人たちが、次の時代、更に次の時代と象徴のあるべき姿を求め、先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています」とのお言葉を残している。時代に合わせて変わることは、今後もずっと求められるんじゃないかな。ヨルダンの王妃のように、社会活動に積極的に取り組むなど、新しいことに挑戦してもいいと思う。そのために大切なのは、もっと国民との距離を近くすること。天皇がどんな仕事をしているか、コビンはよく知らなかったでしょ?

コビン:うん!

君塚:退位を表明したときも、「そんなにご負担がかかっていたのか」と驚いた人が多いんじゃないかな。それは、天皇や皇室と国民との距離が遠いからだ。イギリスは、昔は距離があったけれど、今ではエリザベス女王が「インスタ・デビュー」したように、積極的に王室の活動を発信している。だから、国民は王室に親しみを持っているんだ。日本の天皇は、特に明治時代以降、神様のように崇められていたから、いきなりは難しいかもしれない。でも、天皇が国民の象徴であり続けるためにも、距離を近づけていくべきじゃないかな。

※月刊ジュニアエラ 2019年5月号より(一部変更した箇所があります)

ジュニアエラ 2019年 05 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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