おすすめは「中立的なフィードバック」をすること。実は僕、褒めて伸ばすことはしていないんですよ。褒めてもいないし、叱りもしない。じゃあ、何も言わないかというとそうでもない。事実のみを言います。例えば、「背筋が曲がっているね」「机に突っ伏しているね」と言うと、それが失礼だと思う子は「すみません」と言って姿勢を正します。あなたはこういう状況ですよと、客観的な事実をフィードバックすると、その子が正しいと思う価値観に基づいて成長していこうとするのです。そこに親の意見や価値観を入れる必要はありません。事実のみを根気よく言うことが大切なのです。
【坪田先生のひとこと】
人は才能ある人を見ると、「もともとこんな才能があったのね」と思いがちですが、もともとは丸い能力を長い時間かけて磨いていくことで角が立ってきて、そのとがった部分が才能だということです。しかし、そこに至るまでの経緯というものはまわりには見えづらいものなのです。
また、結果によって人の評価はがらりと変わってしまうということもあります。もし「ビリギャル」のさやかちゃんがあと1点足りなくて慶應義塾大学に落ちていたら、あれだけ能力が伸びていても、「金髪のギャルが受かるわけないじゃん!」と言われてしまう。人の評価ってそんなものなのです。
僕は逆にそこが面白いと思っていて。結果によって、人の評価はがらりと変わり、そこから新しいストーリーが作られるのです。学年ビリのギャルであるさやかちゃんが慶應に受かりました。そうすると、彼女の後輩たちがこぞって塾に入り始めて、慶應を目指すんです(笑)。さやか先輩でも受かるんだったら、私も行きたいと。
実はこのストーリーが重要で、周囲の人がやったから自分もできるのではないかと思える。憧れを持つことは、人生においてすごく大切です。
もともと子どもに経験外のことを夢として持たせることは不可能なんですね。なので、親御さんはお子さんの性格や得意な能力を踏まえたうえで、いろいろな世界を見せてあげてください。人生の経験値を増やすことで夢が広がり、才能の芽が見えてくるはず。才能は、誰にでもあるのです。
「AERA with Kids春号」では、他にもいろいろなケースの悩みについて坪田先生が答えています。ぜひ子育て参考にしてみてください。(取材・文/高橋亜矢子)

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