「キャンプや農村留学など、あえて不自由な場所に身を置かせることをお勧めします。不自由な状況にいると、自ら情報を編集し、課題を解決する力がつきます。アウトドアが苦手な親なら、得意そうな友人と一緒に行けばいい。私もそうしました。多様な価値観に触れることでレゴのピースが増えます」
最後に、これから予想される社会の変化と、そこで求められる力を5つにまとめました。
(1)「思考力」
2020年度に大学入試センター試験の代わりに、大学入学共通テストが登場します。知識量だけでなく、思考力や知識を活用する力を測る問題が出されます。ただし急には変わらず、20年代を通して徐々に重心が思考力型に移ると見られます。
(2)「プレゼン力」
現在、多くの大学でAO入試が実施されており、ますますその枠が広がっていくものと見られます。AO入試は、小論文や面接などで、基礎学力や学ぶ意欲を測る入試。思考力や判断力、コミュニケーション力も重視されます。自分をプレゼンする力をつけておくことが重要に。
(3)「コミュニケーション力」
訪日外国人はますます増加し、日本にいても、グローバル化と無関係ではいられなくなります。今後さらに多くの企業が「グローバルに活躍できる人材」を求めていく中で対応するには、試験でいい点数をとるだけでなく、論理的に思考し、多様な人と協働していく力が必須。
(4)「発想力」
子どもたちが社会人になるころには、事務処理など定型の仕事の多くが、AI(人工知能)を搭載したロボットに取って代わられるという予測が。AIに代替されない基礎的人間力と、AIにはできない自由な発想を生み出す"柔らかい頭"を持っておくことが大切になります。
(5)「ライフデザイン力」
小学生の多くが100歳以上まで生きるだろうと推計される今、ひと昔前の人生モデルは通用しません。大企業に就職しても、退職後に備え、学んだり自分の可能性を探ったりする必要が出てきます。いろいろな情報をつなぎあわせ、自分の人生をデザインする力が大切。
「AERA with Kids春号」では、2020年度から全面実施になる新学習指導要領を踏まえた、小学校6年間の学びについても解説しています。(取材・文/松田慶子)