木下:いつもはすぐに寝るのに、その夜「水飲んでくる」と言って起きて。「胸が苦しい」と言うんですね。ご覧のとおりいつも強気ですし、何でもポジティブに考える子なのに。

ジャガー:息子が体を掻いていたので、私はアトピーの薬を塗ってあげて。落ち着いたから「大丈夫だよ」って言ったんですけど。

木下:戻ってきて、私に「手をつないで寝ていい?」って言うんですよ。そんなこと言われたことないからびっくりして。「おまえおかしいだろ」と言いながらも、手をつないで寝たんです。よほど不安だったんでしょうね。私は「今までこんなに頑張ってきたのだから絶対大丈夫。お父さんが責任持つから」って言って。息子は泣いていたみたいですけど。

ジャガー:それが3日くらいで落ち着いたんです。3人でよく話しましたね。「やるだけのことはやったんだから、全力で実力を出せば、合否はあとからついてくる。私たちがいるんだから、何があっても怖がらなくていいんだよ」というようなことはよく言ってましたね。

――受験校は大維志くんが決めたのですか?

木下:はい。医学部を目指すコースのほかに「共学」も条件だったんですよ。女子と「交際できるから」という理由で(笑)。

――そのあたりも、自分で決めたのですか(笑)?

ジャガー:そう。だって自分で決めさせるのが一番でしょ。わが家は、親としての意見は言いますけど最終的には自分で決める、がポリシー。なぜって、そうすれば「人のせいにしないから」。まだ子どもだけど、小さいうちからその経験を重ねることは大事だと思います。

 今回、2校に合格しましたが、進路についても親子会議でさんざん話し合いました。そして最終的には息子が出した結論を尊重し、また夢に向かって頑張ろうね、と話しました。

木下:頼もしく感じましたね。彼なりに、本当によくやったと思います。

*  *  *

本誌では、ジャガーさん一家の、中学受験時にまつわる葛藤や成長をさらに詳しく紹介しています。

(取材・文/船木麻里)

AERA with Kids (アエラ ウィズ キッズ) 2019年 春号 [雑誌]

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船木麻里
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