中学受験の志望校選びもいよいよ佳境に入ってきました。「志望校をしぼりこめていない」「そもそも受験をするかどうかまだ悩んでいる」という家庭もあることでしょう。

 ここ数年、志望校選びで注目を集めているのが「お得校」です。受験では入りやすく、入学後はがっちり学力を伸ばして自立性を育ててくれるといわれています。

「AERA with Kids秋号」(朝日新聞出版)では、具体的にはどんな学校があるのか、子どもを伸ばすポイントはどこにあるのか、中学受験の動向に詳しい森上教育研究所の森上展安さんに解説してもらいました。

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 そもそも「お得校」とは? 森上展安さんは次のように説明してくれます。

「中高一貫校は、入試時の四谷大塚や日能研の偏差値により、50以上のグループならGMARCHが、55以上なら早慶が狙える、というようにグループ分けされています。でも、30、40台のグループでも、GMARCH合格者を多く出す学校もある。つまり、入り口は広く、6年後の出口では高い大学に導いてくれる。これが偏差値という観点でのお得校です」

 実は、偏差値以外の面でも、「お得」を実感できる学校があると、森上さんは続けます。しかも、増えているとも。

「公立一貫校の適性検査のような、本人の適性や伸びしろ、得意なことを評価する入試が増えています。プレゼンテーション入試や英語入試などがそう。すると、人前で発言することが得意、英語はできるという子なら、塾に通わなくとも受かるわけです。受験勉強の費用を払わずに済む。経済的なお得ですね」

 こうした入試は、子ども自身にもお得をもたらすといいます。

「新しい入試方式で進学する子は、教科の受験勉強をしていないので、序列感がない。だから自己肯定感が損なわれずに、元気いっぱいで中学校に通うことができます。周囲の子も、その子からいい刺激を受ける。例えばその子が堂々と発言する様子を見るうちに、ほかの子もしだいに発言するようになり、双方向の授業ができるようになるという具合です」

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AERA編集部
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