18歳以上が成人になるかもしれない。成人年齢引き下げで変わることと、変わらないことはなんだろうか? 小学校で4月から道徳が教科になった。中学校で教科になるのは来年からだ。道徳の教科化で、どんな問題が起きうるのだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞社会部・小松隆次郎さんの解説を紹介しよう。

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 政府は3月、法律で定めた大人(成人)の年齢を、これまでの20歳から18歳に引き下げる法案を閣議決定し、国会に提出した。この法案が成立すると、2022年4月から、18歳以上が成人になる。18歳や19歳でも今の20歳以上と同じように、携帯電話などの契約を、保護者に許してもらわなくても、一人で結ぶことができるようになる。

 成人の年齢が20歳と決められたのは、1876(明治9)年。その後、現在まで約140年にわたって「20歳で大人」というのが維持されてきた。今回の「18歳で大人」という変更は、歴史的な見直しだ。

 選挙権の年齢は、別の法律が先行してすでに変わっており、2016年夏の参議院議員選挙から18歳以上が投票できるようになっている。海外では英国やフランス、米国の多くの州などが、選挙権の年齢に合わせ、成人の年齢を18歳としてきた。今回の変更は、こうした国際的な流れに合わせる狙いもある。

 日本は子どもの数が減り、高齢者が多くなっている。その傾向はこれからも進む。成人年齢の引き下げによって若い人の社会参加を早め、社会を活性化させてほしいという期待がかけられている。

 ただ、心配もある。18、19歳の人が、親の知らないところで、悪質商法にだまされて契約し、金銭被害に遭うおそれが高まるといわれている。これまでは、未成年者が親の同意なく結んだ契約は取り消せたが、18、19歳は今後、取り消しができなくなる。大人として「判断能力がある」と、みなされるからだ。少年法の対象年齢を引き下げるかは検討中だ。

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小松隆次郎
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