そんなタイプの違う2人の小学生生活を見てきて……うん、心配。お兄ちゃん(またかよって言わないで)。

 長男は保育園時代から、自発的なコミュニケーションがほとんど見られず常に世話好きなお友だちに先導されているような子でした。何度も、朝登園中に出会うクラスメートに「おはよう」と自分から声をかけてみよう!と家で練習しては翌朝撃沈する日々。手を伸ばせば届く距離で歩いているお友だちの背中に声をかけるアクションができなかったんです。

 小学生になってからもあまり変わらず、不安は増すばかりでした。

 私はなるべく子どものうちにたくさんコミュニケーションで失敗したほうがいい、と思っていました。お互いに傷つけたり傷つけられたり、けんかをして仲直りをしたり……。その繰り返しで相手の気持ちを思いやったり、距離感をつかんでいったりすることができる。実際たくさんの失敗を繰り返してきた自分の経験上、この考えには揺るぎないものがあったんです。

 小学生になってからはコミュニケーションを野球のキャッチボールに例えて伝え続けてきました。

「キャッチボールは投げられたボールを受け取って投げ返すから続くんでしょ? 相手がいくらいいボール投げてくれても受け取るばかりで返さなかったら一方通行になっちゃうよね」

「自分からもボールを投げてみようよ。いつも誘ってくれる友だちも、長男から誘ってきてくれたらきっと喜ぶよ!」

 そうだよね、と言いながらもなかなか積極的に友だちと関わろうとしていない長男に、このままでは冗談じゃなくヤバい大人になってしまうのでは……とモヤモヤしている間にコロナ禍に突入。ますますコミュニケーションの練習不足を感じながらの3年間を過ごしてきたんですが……。

 実はここへきてむしろ「不足」なんてしていなかったことが分かったんです。

 5年生も修了した春休み中のこと。保育園時代からの友だち数家族と弟妹たちもいっしょに久々に食事をする機会がありました。子ども同士も小学校の同級生なのでいわば10年来の付き合いです。兄弟の戯れの中で弟の次男が長男に強い態度をとっている様子を見て長男の同級生たちが、

「長男~立場弱いぞー(笑)」

 と笑って見ていました。

NEXT一人の子が何げなく言ってくれた一言
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