「夏を制するものは受験を制す」――。夏休みは、中学受験の勉強をスタートさせたり最後の追い込みに入ったりする家族が多い季節でもある。勉強してもしても成績があがらない、苦手な科目をどうしても克服できない――。中学の受験勉強ではどうしても、そんな「壁」にぶつかりがち。その壁を親子で乗り越える方法を、国・数・理・社、4教科の専門家にずばり聞いた。「中学受験社会科専門塾スタディアップ」野村恵祐先生によると、「社会の土台作りは『白地図の攻略』にある」そうだ。
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■地理、歴史、公民の順番で勉強する
社会は暗記教科で、やればやっただけ点が取れる、不得意にならない教科です。暗記なので本番の緊張に強く、点数のブレが少ないという利点もあります。ほかの教科と違って、中学受験を経験していない保護者でもテキストさえあればサポートができます。家庭で伸ばす教科というのが私の持論ですが、覚えるにはコツがあります。
必ず地理、歴史、公民の順番に勉強することが大前提。私は「白地図」と「都道府県」を社会の公式と呼んでいますが、これをインプットすることは、地理に限らずすべての分野の土台になります。たとえば歴史で「鎌倉幕府」を学習したとき、鎌倉の場所がわかると理解の深度が違います。
地理はまず、都道府県の名称・位置・県庁所在地・形をしっかりと覚えましょう。白地図が有用ですが、パズル形式の日本地図で楽しく勉強するのもいいでしょう。白地図で覚える基本は、
(1)山地・山脈・山・火山
(2)平野
(3)川・湖
(4)盆地・台地
(5)半島・岬
(6)湾・海峡
の6事項です。これらは入試でよく出題されます。塾のテキストや市販の参考書で、重要とされるものの名称と場所をしっかりと覚えましょう。スケジュールを立て、完璧に覚えたかどうか、親がチェックするといいでしょう。
白地図の基本を覚えたら、日本の農・水産・工業などの単元に入ります。覚えることがたくさんあるように感じますが、基本をクリアすればそれほど負担ではありません。
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