日本最大規模の大学祭で旧統一教会関連団体のトップが参加するイベントが開かれていた。教団との関係は伏せられ、一般人も参加した。「正体隠し」に専門家は注意を呼びかける。2022年12月5日号の記事を紹介する。
【写真】世界平和女性連合のムン・ヨナ氏と学生らの集合写真はこちら
* * *
高額献金などが社会問題化している世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は、「友好」団体が大学で布教活動をしてきたことで知られる。20万人以上が来場するとも言われる早稲田大学の大学祭「早稲田祭」では2017年、世界平和女性連合の当時世界会長だったムン・ヨナ氏の講演会が開かれていたことが取材でわかった。
ムン・ヨナ氏はどういう人物なのか。
「旧統一教会の創始者・文鮮明(故人)と妻で現総裁の韓鶴子の長男の2番目の妻です」
そう解説するのは、全国霊感商法対策弁護士連絡会の渡辺博弁護士だ。
「動員目標」74人を達成
講演は500人以上が入る大学内の教室で実施された。主催したのは大学の非公認団体「早稲田CARP(カープ)」。CARPは「Collegiate Association for the Research of Principles」(全国大学連合原理研究会)の頭文字からとった名称で、旧統一教会系の学生組織だ。
渡辺弁護士は言う。
「一般の学生は早稲田カープと言われてもピンとこない。旧統一教会の正体隠しの勧誘の場になる可能性が高い」
早稲田祭のパンフレットには、講演会の情報が掲載されていた。だが、ムン・ヨナ氏の名前や世界平和女性連合の名称はなかった。
また、開催2週間前、フェイスブックの非公開グループにこんな告知が投稿されていた。
<真の御家庭の文妍娥(ムンヨナ)様をお迎えしての企画になっています>
その企画は「S!NERGY(シナジー)×WASEDA(ワセダ)」と題され、自己肯定感の高め方や留学、日韓関係などをテーマに4人の学生が登壇。その後、特別ゲストとしてムン・ヨナ氏が講演するという内容だった。だが、講演に参加する現役信者に対して、
<教会内部でしか通じない言葉を控えるように>
と注意を促し、「家庭連合、統一教会」などの用語を使わないように求めた。