「やりたいことがずっとできている」と語る清田友理香(photo 写真映像部・東川哲也)
「やりたいことがずっとできている」と語る清田友理香(photo 写真映像部・東川哲也)

 ソニーグループが営業利益1兆2023億円(2022年3月期決算)をたたき出した。営業利益1兆円超えは国内製造業ではトヨタ自動車に次ぐ2社目だ。家電の不振から復活した原動力は、そこで働く「ソニーな人たち」だ。

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 短期集中連載の第2回は、“リケジョ”の清田友理香さん(33)。結婚、出産、復職と、様々なライフイベントをこなし、開発の最前線で働く。そこには気負いも背伸びもない。彼女の生き方には、ソニーの素顔が垣間見られる。2022年11月28日号の記事を紹介する。(前後編の前編)

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 彼女は世にいう、“リケジョ”である。ソニーグループ株式会社モビリティ事業室クラウドサービス開発部の清田友理香(33)だ。

 彼女の働き方、生き方を追っていくと、ソニーとはいかなる企業なのか、ソニーの“素顔”を垣間見ることができる。

 兵庫県出身で、大学では物理学を専攻した。クラシックバレエを長くたしなんでいたといい、小柄だが立ち居振る舞いは凛としている。

 中高時代から、学園祭などの運営を仕切るのが好きだった。大学で学園祭の実行委員を務めたのをきっかけに、人間を中心に物事を設計する考え方やデザインに興味を持つようになり、それを仕事にしたいと考えるようになった。

 近年、家電やスマートフォン、ウェブ上の操作画面など、何にでも「ユーザビリティ(使いやすさ)」の重要性が指摘されるようになった。

 しかし当時は、「デザイン思考」「HCD(人間中心設計)」「UX(ユーザーエクスペリエンス=顧客体験)」などの言葉は、日本ではまったくといっていいほど知られていなかった。

■これから大事になる

 学生向けイベントでソニーの社員に話を聞く機会があった。自分の希望を話した清田に、担当者はいった。

「そういう仕事をする人は増えているよ。これから大事になってくる分野だから、会社に入ってから勉強しながらできると思う」

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