トークイベントに出演した平野歩夢
トークイベントに出演した平野歩夢

 北京冬季オリンピック(五輪)のスノーボード男子ハーフパイプで金メダリストとなった平野歩夢(23)が3月7日、東京・銀座で、トークイベントに出演した。自身がアンバサダーを務めるオメガの主催。紺のスーツ姿で登場し、逆転したときの心境などを振り返った。

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 2月11日の決勝。2回目でスコット・ジェームズ(オーストラリア)が92・50点でトップに立った。平野は0・75点差の91・75点だった。

 最終3回目、平野は2回目と同じルーティン(技の構成)。完成度をいっそう高め、96・00点で逆転に成功した。

「決めるのもほんと奇跡に近いぐらいの技の難度だった。なかなか紙一重の瞬間で、自分もいや~ぎりぎりだったなって」

 昨夏の東京オリンピックにはスケートボードで出場した。準備期間が少ないのにもかかわらず、半年後の北京冬季オリンピックでは決勝で超大技「トリプルコーク1440」(斜め軸に縦3回転・横4回転)を世界で初めて成功させた。

「ほんのちょっと前まではあの技が生きるか死ぬかというぐらい、絶対できない、誰もできていないトリックだったので、最初やったときは足とか震えて。でも、その練習を半年間のなかで何回も繰り返した」

 イベントの冒頭では、金メダルも披露。銀メダルだった2014年ソチ五輪、18年平昌五輪との違いについて聞かれると、金メダルを右手でつかみながらこう話した。

「今回の4年間は、自分にとってもいろんな経験と時間のなかで迎えたオリンピックだった。時間もほんと半年間しかなくて。いろいろなことにチャレンジし、経験したことが生きて、このメダルをゲットできたのかなと思っている。今まで(のオリンピック)とは違った内容だったのかなってあらためて思います」

金メダルを手にする平野歩夢
金メダルを手にする平野歩夢

 今後も「二刀流」を続けていくのか。平野は「いろいろなことに挑戦したい」と話す。

「今回の4年間のチャレンジは、ほんと今まで経験したなかで一番苦しくて、自分との葛藤とかもあったんですけど、そういう不安を受け入れていくなかで、自分自身の気持ちだったり、見えてくる景色が大きく変わって、自分のなかで充実できたと感じて、今回スノーボードの部分にもつながっていたと思うので、また、今以上の自分になれるための成長をできるようなチャレンジをしたいなって。いろんなのと闘っていきたいという気持ちはある」

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