「コンビニ百里の道をゆく」は、51歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【写真】ローソン南区芝町店などで、ワクチン予約に関する相談を受けています
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コロナ禍で起きる変化に知恵を絞って対応してきました。休校で給食がなくなり困っていると聞けば、全国の学童保育施設に58万個超のおにぎりを無償で提供。医療現場が大変だと聞けば、病院に入っているホスピタルローソンで、医療従事者の方へのメッセージの掲出や、オリジナルデザートやコーヒーの割引などを実施しました。
そんな中、ワクチン接種の予約でネットに慣れない高齢者の方々が困っていると。何かできればと考えました。
私たちは介護拠点併設型店舗「ケアローソン」も展開しています。通常のコンビニの機能に加え、ケアマネジャーら相談員に介護の問題について相談できる場所です。不安を抱える高齢者や、親の介護に直面している方から「どこに相談すればいいか」「仕事があるし、9時から5時までに役所に行くのは難しい」との声を聞いていました。コンビニに窓口が併設されれば「気軽に相談できる」と。実際、ケアローソンはマチの介護相談窓口として高評価をいただけていると感じています。
そのケアローソンを、ワクチン接種の予約方法に戸惑う高齢者の方々の相談拠点にしてはどうだろう。そこで、まずはローソン南区芝町店(名古屋市)とローソン横須賀鶴が丘店(神奈川県横須賀市)の2店舗で、接種予約に関する対面での相談サービスを展開しました。相談の予約を電話で取ったうえでご来店いただければ、接種の予約が取れるまでサポートする。すでに多くのご利用をいただいています。6月18日からは、ローソン東習志野店(千葉県習志野市)でも開始しました。
企業理念「私たちは“みんなと暮らすマチ”を幸せにします。」の通り、様々な「マチの困りごと」に、マチの一員として何かお役に立てないか? その発想と姿勢を常に忘れず、今後も率先して取り組んでいきます。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2021年7月5日号