大きな地震が起こったら、地表の上にあるものは当然、大きな被害を受けてしまう。被害を少しでも減らすために、防災対策をアップデートしよう。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」3月号では、東京大学地震研究所災害科学系研究部門教授の古村孝志さんに、ジュニアエラのキャラクター・コビンが聞いた。

*  *  *

――ボク、地震が怖くてしかたがないよ。

 そうだね。東日本大震災のような、たくさんの人の命や暮らしを奪ってしまう巨大地震が、いつくるのだろうと考えると不安になるよね。

――地震の予測って難しいの?

 現在の地震研究は、人間の健康診断みたいなもので、異常を見つけたから気をつけてくださいということはいえるけど、コビンが知りたいような、いわゆる地震の予知、いつ・どこで・どの規模の地震が起こるのかを予測できる科学技術は、世界中のどこにもないんだ。もしそういう情報がインターネットなどで流れていたら、それはデマだから、気をつけてほしいな。

――ニュースで何年以内に地震がくるとか聞くけれど、あれは本当?

 南海トラフ全域の地震に関しては30年以内にM8級の海溝型地震が起こる可能性が約70~80%、また30年以内に首都直下地震が起こる可能性が約70%というのはさまざまな研究から指摘されているんだ。私自身も、今後こんな強い地震が起きるかもしれない、起きたらどれくらいの強い揺れとなって、どんな津波になるのかを研究しているけど、それはこれから起こりうる巨大地震に対して、どんな対策ができるかという備えのためのものなんだ。

――ボクたちができる地震の備えってあるの?

 地震に強い家づくりはとても大切なことなんだ。東日本大震災のような大津波の場合はどんなに頑丈な家をつくっても、家が津波によって流されてしまう恐れがあるから、津波がこない高台に家をつくるという対策が必要だけど、阪神・淡路大震災や今後心配されている首都直下地震の場合は、地震でも倒壊しにくい家づくりが重要となるんだ。

――でもボクは家を建てることなんてできないよ。

 コビンには、ご両親にいつ建てた家なのかを聞いてみてほしいな。もしも1981年以前だったら、地震に弱い古い設計の可能性が高い。コビンが住んでいる街(自治体)で、家の耐震診断のお金を補助してくれるはずだから、一度診断してもらうようにご両親に相談してみてほしい。

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AERA編集部
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