エスパー長官に続き、高官のジェームズ・アンダーソン国防副次官(政策担当)が自ら辞任。つまり、国家安全保障という最優先事項について、新政権移行の際に行われる「引き継ぎ」をする幹部4人が、空席という事態だ。米誌ニューズウィークは「安全保障を犠牲にしても、トランプはバイデンの政権移行に徹底抗戦する構えか」と書いた。

 第2に、選挙をめぐる開票作業や訴訟がいまだに続いており、逆転を期待するトランプ派市民を活気づかせていることも事実だ。

■ジョージア州は再集計

 ニューヨーク州は、投開票日の11月3日の1週間後である10日から、不在者投票と郵便投票の開票作業をやっと始めた。トランプ陣営は11日、選挙が「不正」だったという理由で、バイデン氏が勝利した中西部ミシガン州で選挙結果を承認しないことを求める訴訟を連邦地裁に提訴した。ロイター通信によると、同州報道官は、トランプ陣営が選挙の信頼を損なうような虚偽の主張をしていると反論。「訴訟を起こしても真実は変わらない。ミシガン州の選挙は公正、安全かつ透明性ある形で実施され、結果は市民の意思を正確に反映している」と述べた。

 一方、接戦となっている南部ジョージア州は、バイデン氏とトランプ氏の得票が僅差(きんさ)であるため、全ての票を手作業で再集計すると発表した。

 第3に、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ政権当局者は連邦政府機関に対し、政権移行手続きを進めるために必要な一般調達局(GSA)が正式に勝者を認定するまで、バイデン氏チームの政権移行の準備を進めないよう指示している、と報じた。(ジャーナリスト・津山恵子(ニューヨーク))

※【「ジョージア州が大変だ!」上院選挙の結果次第でバイデン氏は厳しい船出? 大統領選の勝利後も続く“選挙モード”】へ続く

AERA 2020年11月23日号より抜粋