でも、今まで以上にいろいろな人に見てもらえるのはうれしいです。今はまだ遠出をしたりするのが怖いという声もあると思うので、そんな人には家で安心して見ていただきたいですね。配信は新しい試みでもあるので、いつも僕のライブを友だちと一緒に見ているという人も、ぜひ配信もそれぞれの家で楽しんでいただけるとうれしいです(笑)。

――背中を丸め、ときに「えーと、なんだ……」と言葉を探りつつ、飄々(ひょうひょう)と語る姿に独特の存在感があり、どこか「アイドルらしくない」。そんな彼が作り上げるコントの世界も独特のセンスで構築されている。

中丸:僕、糸井重里さんがシナリオを担当している「MOTHER2」というゲームがめっちゃめっちゃ好きなんですよ。キャラクター設定や、セリフ、音楽、すべてにおいてセンスがすごくて、僕の人格形成に関わるくらい影響を受けているんです。僕が作るコントや、言葉のチョイスにも当然その影響はあると思います。

 こういうライブってどうしても、なんというか「アイドルがやることなんて、たかが知れてるでしょう」と見られてしまうと思うんです。そこを何とか覆したいというモチベーションはあります。ま、そう言いつつ、僕もしょうもないことをやっていたりもするんですが。だから、一番うれしい感想は「普通に面白かったよ」と言われることかな。僕も普通にうれしいです(笑)。ただ、身近な人には自分から進んで「見に来て」とは言ってない。恥ずかしいのと、手のうちを見られる感じが嫌なんです。

――KAT−TUNのメンバーも自分からは誘わない。KAT−TUNがホームなら、この舞台はあくまで個人の「ローカルな場」。そんな自由な場だからこそ出せた遊び心が、思いがけず、ホームとつながることもあった。

■オタ芸版をライブで

中丸:KAT−TUNの楽曲をいじるコーナーがあるんですけど、去年「Keep the faith」にオタ芸のコールを入れたオタ芸バージョンを作ったら、ものすごくウケたんですよ。もう、驚くほど笑ってくれて。それを会場で見ていた上田(竜也)くんが、「KAT−TUNのライブでやりたい」と言ってくれたんです。でも、僕はかっこいいKAT−TUNのイメージが崩れることを危惧して、僕の舞台にとどめた方がいいと思った。上田くんは、「それでもやったほうがいい」と強く言ってくれて。そうしたら、亀梨(和也)くんも納得して、去年発売したアルバムに、僕が歌詞をつけたオタ芸の曲も入れることになったんです。KAT−TUNのライブでやったら、またそこでも非常にウケて。加えて、自粛期間中にネット配信したライブでも、その歌を感染予防の替え歌バージョンにして、ファンの皆さんに楽しんでもらいました。一人で勝手に遊んでいたものが、いろいろな形で発展していくのは、不思議というか、面白いもんだなあと思いましたね。

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