――私たちはこの危機にどう向き合えばいいの?

「脱炭素社会」と呼ばれる「実質ゼロ」に向けた各国の動きは鈍いが、企業や自治体、市民など「非政府主体」の動きは加速している。グレタ・トゥンベリさんに象徴される若者の抗議活動もその一つだ。

「50年実質ゼロ」の実現に沿った投資を約束した保険会社などの運用資産は約4兆ドル(約440兆円)、ヨーロッパなどの大手企業で「50年実質ゼロ」の計画を持つのは177社(従業員計580万人)に達した。

 また「50年実質ゼロ」に向けて「気候非常事態」を宣言した自治体や議会は、現在、世界で1200以上、住民人口は約8億人に及ぶ。日本でも長崎県壱岐市や長野県、神奈川県鎌倉市などが宣言している。

 自分のいる場所で、声を上げ、意思を示すことが最も重要だ。

【パリ協定】
温暖化対策の国際ルール。2015年にフランス・パリで開かれた国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、196の国と地域の代表によって採択された。すべての国が自主的に温室効果ガスをどれだけ減らすかを届け出て、5年ごとに実行できたかどうかを国連の場でチェックする。目標1は、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2度未満、できれば1.5度に抑える。目標2は、今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロに。

【SDGs】
国連が2015年に採択したSDGs(持続可能な開発目標)でも、温暖化を食い止めることが重要な課題となっている。17分野の目標の中で、目標13は「気候変動に具体的な対策を」とし、適応策の強化も求めている。目標7では「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」を掲げ、再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大することを目指す。

(朝日新聞編集委員・石井徹)

※月刊ジュニアエラ 2020年3月号より

ジュニアエラ 2020年 03 月号 [雑誌]

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石井徹
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