「発達障害」とは違う、一般的に気づかれにくい「境界知能」の子どもたちのために、認知機能強化トレーニング「コグトレ」を考案、大きな成果をあげている児童精神科医で医学博士の宮口幸治先生。境界知能の子は「勉強もまったくできないわけではないからこそ、気づかれにくい」と、宮口先生は指摘します。花まる学習会代表の高濱正伸先生との対談を、子育て情報誌「AERA with Kids 2023年冬号」(朝日新聞出版)からお届けします。

MENU IQ70以上85未満の「境界知能を持つ子が生きづらい理由とは 境界知能と思われる子は、1クラス35人なら約5人はいる計算に 多様性や個性の尊重以前に「みんなと同じになりたい」それが子どもたちの願い

IQ70以上85未満の「境界知能を持つ子が生きづらい理由とは

高濱:先生の最新刊『境界知能の子どもたち』と、以前出された『ケーキの切れない非行少年たち』は衝撃的でした。教育現場に立って30年、たくさんの子どもたちを見てきて、伸びる子とは、思考力とは、生きる力とは、などなど実感に基づいた教育論を構築してきたつもりですし、発達障害や不登校の子たちとも触れあってきました。が、境界知能という見過ごしていた部分があった。知らない間に線引きされていた世界のあることを思い知らされた気がします。

宮口:知的障害や発達障害の子も、もちろん生きづらさはあります。ただ、まだ十分ではありませんが知的障害は実社会で生きていくための支援システムがあるし、発達障害は、得意不得意の差が目立つ、こだわりが強い、といった特性を、個性のひとつとして上手に生かすこともできるようになってきました。

高濱:カリスマ経営者や有名人の中には発達障害を公言している人もいるし、以前に比べると発達障害への理解は進んでいますよね。

宮口:境界知能の子は一見普通に見えます。自分で身の回りのことはできる、友達と遊べる、勉強もまったくできないわけではない、だからこそ気づかれにくいのです。けれども成長するにしたがって次第に勉強や人間関係でさまざまな支障が出てきます。発達がゆっくりのため年齢相応のラインに追いつけなくなるんですね。4年生のクラスに2年生がいるイメージでしょうか。

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篠原麻子
篠原麻子

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