人の感情や気分、音や光、場の雰囲気などに敏感であるために、疲れやすく傷つきやすい子どもたちをHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)といいます。5人に1人があてはまるとも。

 HSCは生まれ持った気質であり、病気でも障害でもなく、「治す」必要もないと言われています。そうはいっても、日々の生活でHSCのわが子にどう対応していけばいいのか、頭を抱える親が多いのも事実。そこで、「AERA with Kids 秋号」(朝日新聞出版刊)ではHSC子育てラボ代表の斎藤暁子さんに、自らの体験談を語っていただきました。

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 現在9歳になる息子はHSCで、私も夫もHSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)。ただ、私は好奇心旺盛で、刺激を求めるタイプなので、自分がそれほど繊細だとは気づいていませんでした。そもそも、子育てを始めた当初はHSCという言葉も知らず、どこに出かけても私のそばから離れず、知らない人に触れられるだけで泣きだす息子に驚きました。とても慎重で、ほかの子が平気なことを嫌がることが多く、「自分の子育てが悪いのでは?」と悩んでいました。

 夫は感受性が強く共感力も非常に高いHSPです。精神科医としてたくさんの人たちの気持ちに寄り添ってきた彼は、誰よりも息子を理解してくれていました。夫がいつも相談に乗って一緒に対応を考えてくれたおかげで、私も息子も救われたのです。

 息子は幼稚園に慣れるまで2カ月間かかりました。私も一緒に登園したりしながら、なんとか慣れさせようと必死でした。でも年長の運動会で、大きな音や大勢の人に圧倒され、笑顔や生気を失った息子を見て、これ以上無理はさせられないと決意。幼稚園をやめ、小学校進学時は、地元の学校や教育委員会とも話し合い、家庭で親が学習を教えるホームスクーリングで育てることにしました。

 息子が7歳のころ、HSCの概念を知り、「これまでの自分たちの接し方は間違っていなかった」と答え合わせができたようでホッとしたのを覚えています。

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AERA編集部
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