日本でもクリスマスケーキや恵方巻きなどの大量廃棄などが大問題になっている“食品ロス”。小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』10月号は、国際連合世界食糧計画WFP協会、広報マネジャーの外岡瑞紀さん監修のもと、食品ロスを特集。その中に掲載された記事を紹介する。

ウガリ(トウモロコシの粉を練った主食)に豆と野菜を煮たものをかけた給食。一日の食事がこれだけという子たちも多い (c)Mayumi Rui
ウガリ(トウモロコシの粉を練った主食)に豆と野菜を煮たものをかけた給食。一日の食事がこれだけという子たちも多い (c)Mayumi Rui

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 今、世界では大量の食料が捨てられている。その量、年間約13億トン。生産された食料の約3分の1にあたる。日本などの先進国では、まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」が問題になっているんだ。

 一方で、世界では8億2100万人が飢えに苦しんでいる。全人口の約76億人に行き渡る食料があるにもかかわらずだ。これは世界人口のおよそ9人に1人の割合だ。

 今、世界の人口は増え続けていて、2050年には97億人に達すると予測されている。今後約20億人も増えるなら、食料の生産も当然増やす必要があるといわれている。だが世界では気候変動の影響で、洪水や干ばつなどの自然災害も増えており、生産を増やすのは簡単ではない。

 食品ロスの削減と飢餓は国際的にも大問題となっている。人類の未来のために必要なことを定めた「持続可能な開発目標(SDGs)」でも「一人あたりの食品ロスを半減する」「飢餓をなくす」などの目標が掲げられている。

 売れ残った恵方巻きが節分後、大量に捨てられているというニュースを覚えているかな?

 日本では、食べ残しや売れ残りなどを理由に、まだ食べられるものを捨てる量が世界的に見ても多く、毎日、国民一人あたり茶わん1杯分(約139グラム)の食品を捨てている。

 農林水産省によると、2016年度の日本の食品ロスは約643万トン。これは東京都に住む1300万もの人たちが1年間に食べる量とほぼ同じだ。そしてこの量は、国連世界食糧計画(WFP)が飢えや栄養不足で苦しむ世界の人々に送った16年の年間食料援助量、約350万トンの1.8倍を超えているんだ。

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AERA編集部
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NEXT世界全体で9人に1人が飢えに苦しんでいる
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