「食べられるはずだったものを捨てるのはもったいないけれど、食べ物はたくさん売られているから大丈夫でしょ」と思う人がいるかもしれない。でも、日本の食料の約6割は外国からの輸入品だ。この先、世界の人口が増加したり、気候変動などが深刻な状況になったりすれば、日本は必要な量の食料を確保できなくなる恐れもあるんだ。

 発展途上国では食べ物が足りなくて困っている人が多くいる。国連食糧農業機関(FAO)の報告書によると、3年連続で、世界で栄養不足や飢餓に苦しむ人の数(飢餓人口)が増加し、現在は世界全体で9人に1人が飢えに苦しんでいる。

 世界で飢えに苦しむ人のうち、3分の2はアジア人だが、人口に対する割合としてはアフリカのほうがより深刻だ。特にルワンダやマダガスカルなどの濃い赤色の地域は3人に1人が飢餓に苦しんでいる。色分けされていない地域では、さらに深刻な食料不足の可能性が高い。

 世界の全人口が食べるのに十分な食料があるはずなのに、こういった地域に行き渡らないのはなぜか。道路や物流などのインフラが整っていないため、食料を届けるのに時間がかかるのも理由のひとつだ。また運搬車に冷蔵・冷凍のシステムがないため、着くまでに半分は腐ってしまうこともあるという。

■WFPの食料援助

 世界には、一日に一度の食事すらできずに、おなかをすかせたまま学校に通う子どもたちがたくさんいます。また、学校に通えない子どもたちも6400万人います。

 WFPは食べ物が足りない地域の学校で給食を出す活動に力を入れています。学校で給食が食べられるとわかれば、親たちは子どもを家で働かせないで、学校に行かせてくれます。そして学校で熱心に勉強した子どもたちが、その国の未来をつくる人になってくれるのです。

※月刊ジュニアエラ 2019年10月号より

ジュニアエラ 2019年 10 月号 [雑誌]

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AERA編集部
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