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「ない」はずだった文書が次々と… 自衛隊が文書を隠すと何がまずいのか?

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移動中に周囲を警戒する自衛隊員(2004年3月、イラク・サマワ近郊) (c)朝日新聞社

移動中に周囲を警戒する自衛隊員(2004年3月、イラク・サマワ近郊) (c)朝日新聞社

防衛省が公表した2006年1月22日のイラク派遣部隊の「日報」 (c)朝日新聞社

防衛省が公表した2006年1月22日のイラク派遣部隊の「日報」 (c)朝日新聞社

「ない」はずだった文書が次々と出てきて、防衛省・自衛隊が揺れた。さて、彼らが文書を隠すと何がまずいのだろう。毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞論説委員・小村田義之さんの解説を紹介しよう。

【写真】防衛省が公表した2006年1月22日のイラク派遣部隊の「日報」

*  *  *
 文書とは、海外派遣された陸上自衛隊(陸自)が書いた活動報告で「日報」と呼ばれている。現地の様子を知る大事な資料だ。

 昨年、問題になったのは南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報。あったのに、なかったことにした。なぜか。

 日報には、現地で起きた激しい「戦闘」が記録されていた。政府は戦闘に巻き込まれる危険がある地域には自衛隊を派遣しないと説明してきた。なので、日報が国会で問題になると、批判は避けられない。だから、隠した。

 今年になって、陸自のイラク派遣時の日報が出てきた。2004年から06年の記録で、やはり「存在しない」とされていた。

 イラク派遣の際、政府は自衛隊の活動範囲を「非戦闘地域」と説明してきた。ところが日報を見ると、やはり「戦闘」「銃撃戦」などと書かれていた。

 現地の様子は日本に報告しなければならない。だが表に出れば批判を浴びる。だから隠す。南スーダンもイラクも同じ構図だ。

 問題の背景には、自衛隊の歴史がある。戦前、軍が暴走し、戦争に突き進んだ反省から、厳しい制約がかかっている。

 一つは、海外で武力行使はしないという原則。海外で他国の軍隊と同じような軍事行動はとれず、戦闘を避ける必要がある。

 もう一つは、政治が軍事をコントロールするシビリアンコントロール(文民統制)。首相や防衛大臣といった自衛官以外のトップの指示に従い、国会の統制も受ける。

 文書が隠されてしまうと、政治家は現地の様子がわからなくなる。その結果、判断を誤りかねない。

 だからこそ、適正な文書管理と情報公開が重要だ。正しい情報に基づいて民主的な議論を交わすことが、文民統制の基礎となる。(解説/朝日新聞論説委員・小村田義之)

【キーワード:シビリアンコントロール(文民統制)】
民主主義国家において、国民を代表する非軍人の政治家(シビリアン)が軍事をコントロールするしくみ。日本では過去に軍部が暴走した反省から、首相を自衛隊の最高指揮・監督権者とし、他国から攻撃があったときに自衛隊が武力行使する「防衛出動」の際は、国会の承認が義務づけられている。

※月刊ジュニアエラ 2018年7月号より


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