専門家も「ありえない」 陸自ヘリ墜落事故の異例さ (2/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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専門家も「ありえない」 陸自ヘリ墜落事故の異例さ

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澤田晃宏,桐島瞬AERA

事故から一夜明けた2月6日朝の現場。焼け落ちた家屋を朝日が照らしていた。墜落時、1階にいた長女は敷地内に住む祖母とともに避難した(撮影/編集部・澤田晃宏)

事故から一夜明けた2月6日朝の現場。焼け落ちた家屋を朝日が照らしていた。墜落時、1階にいた長女は敷地内に住む祖母とともに避難した(撮影/編集部・澤田晃宏)

自衛隊、佐賀県警、消防隊員が夜を徹して墜落したヘリの部品の回収などに動き回った。周辺の民家内からもヘリの破片が見つかった(撮影/編集部・澤田晃宏)

自衛隊、佐賀県警、消防隊員が夜を徹して墜落したヘリの部品の回収などに動き回った。周辺の民家内からもヘリの破片が見つかった(撮影/編集部・澤田晃宏)

墜落した2人乗りの戦闘ヘリコプターAH64D。全長約18メートル、全幅約15メートル。最大時速は約270キロで、陸上自衛隊に13機あった(写真:陸自ホームページから)

墜落した2人乗りの戦闘ヘリコプターAH64D。全長約18メートル、全幅約15メートル。最大時速は約270キロで、陸上自衛隊に13機あった(写真:陸自ホームページから)

墜落した機体は、4枚の羽根を固定する「メインローターヘッド」が飛行中に外れ、制御できなくなった可能性があるとみられている(写真:Getty Images)

墜落した機体は、4枚の羽根を固定する「メインローターヘッド」が飛行中に外れ、制御できなくなった可能性があるとみられている(写真:Getty Images)

●回転翼が上空で分離

 ある自衛隊パイロットは、「万が一、墜落する状況になっても、ぎりぎりまで操縦して人口密集地や民家を避け、河川敷や川などに向かい、住民の被害が出ないようにと心がけている」と語る。今回の事故はドライブレコーダーの動画や目撃情報から、ほぼ垂直に落ちていて、回避行動も間に合わなかったように見える。こうしたことから事故原因について浮上しているのが、上空でのメインローター(主回転翼)の分離だ。事故機は飛行前に羽根を機体につなぐ「メインローターヘッド」を交換していた。墜落現場の住宅の敷地からは、4本のメインローターのうち2本を発見。現場から南東に約500メートル付近の用水路から、1本が見つかった。

 専門家は一様に「メインローターが空中で分離する事故は聞いたことがないし、考えられない」(中日本航空)と首をかしげる。ヘリコプターの整備を手掛ける匠航空の森岡匠代表は、考えにくい理由をこう話す。

「メインローターヘッド交換のような整備は数人がかりでやり、テスト飛行前にも正常に取り付けられたかをローターを動かしながら地上で入念に確認します。その際に何らかの整備不備があれば振動計などに異常が出る。万一、見逃してそのまま飛んだとしても、すぐに操縦士が異変に気がつき予防的に着陸するはずです」

●同様の事故が複数回

 今回の事故について、欧米のパイロットらが集うインターネット上のサークルとして知られる「PPRuNe」では、早速こんなやり取りが交わされていた。

「メインローターが分離するなんて、ガルベストン湾とフォートキャンベルで起きたそれぞれの事故にそっくりだ」

「原因はストラップパックの不良では? ボーイングは繰り返し起きるこの問題に、もっと熱心に対処してほしいと願うよ」

 国内の航空専門家の間ではメインローターが分離する事故は極めて異例とされているが、実は米国では今回事故を起こしたAH64と同系統の機種で同様の事故が複数回起きていた。

●整備不良か機体の問題

 1度目は15年12月。ケンタッキー州にあるフォートキャンベル陸軍基地を飛び立ったAH64Eが訓練飛行中にメインローターが外れて墜落炎上し、乗員2人が死亡した。事故原因は整備不良だった。この事故を取材した米国紙「USAトゥデー」のステファニー・インガーソル記者は、本誌の取材にこう話す。

「事故を起こした機体は事故の50時間前にローター部の部品を交換した際に正しく組み付けられず、部品に負荷がかかった結果としてメインローターが空中で分解しました」


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