実はSD社のビジネスを模倣したような類似業者で、減額・未払いのトラブルも同様に起きている。筆者が確認しただけで、他に2業者が昨年、減額・未払いに及んでいる。いずれの業者の大家にも、スルガ銀の利用者が含まれる。

 サラリーマン大家の多くは老後への不安から不動産投資に走ったのに、今は夏までの金策さえままならない状況だ。

 スルガ銀との金利の引き下げ交渉が動き出したが、利息が減るだけでは解決しない。SD社を訴える手もあるが、時間と手間がかかり、約束したお金をぜんぶ払わせられるかは不透明だ。

 SD社の高利回り(=家賃保証)と引き換えに、シェアハウスの多くは相場より3〜4割高く取引されている。転売すれば、それだけで数千万円の損失を抱える。自分でシェアハウスの入居者を埋めて家賃を集めるか、代わりの管理業者を見つけるかして銀行返済をしのぐ道もあるが、見込んだ収入が大きく目減りするのは必至で、余裕がなければ行き詰まる恐れがある。

 冒頭の説明会が終わると、弱り切った大家たちに「支援」「救済」と書かれたビラを手に近づく男たちがいた。ブランド物の服やカバンをまとい、高級外車で乗りつける猛者も。ある大家がビラの一つに電話をかけると、300万円の「コンサルタント料」を要求された。その大家は「魑魅魍魎の世界。ああ、手を出さなきゃよかった」と心底悔しそうにつぶやいた。(朝日新聞記者・藤田知也)

AERA 2018年2月12日号