もちろん数字は大切です。予算は会社への約束事ですが、「自分たちはこうやって数字を出したい」「もっと違うやり方がある」と提案したり、「その数字は無理です」と反論したりするのはいいことだと思います。重要なのは、そのときにロジカルな主張ができるかどうか。

 日ごろから部下と向き合ってチームの強みを知り、適切な数字感覚を持つ。そして、自分が実現したいことを突き詰めて考えていれば、説得力のある意見が言えるはずです。上司の言う無理な目標をそのまま部下に指示しているようでは、「管理職」とは言えません。部下の生活も率いているんだという責任と自負を持って会社にしっかり主張できるかどうかも、中間管理職に求められる資質だと思います。

 経営陣は数字も含め、会社のすべてに責任を取る覚悟が必要であることは言うまでもありません。私も日々、その覚悟で社長の仕事に臨んでいます。

AERA 2017年9月25日号

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竹増貞信

竹増貞信

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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