●過疎の村でも寺を維持

──東京五輪では、大勢の訪日客が見込まれます。

 リオ五輪では代替宿泊場所の公式提供業者として認定され、8万5千人のゲストに宿泊先を提供しました。新たな宿泊施設も建設されるでしょう。でも、五輪後に一気に空室になってしまうリスクもある。リオでは民泊の活用で暫定的な宿泊施設を一気に拡大、多くの観戦客を受け入れることができた。五輪のように、経済的効果の高い大イベントでは、われわれのサービスが貢献できると考えています。

──旅先としての日本の魅力は。

 ユニークで類を見ないマーケット。世界中の旅行者の目的地となっています。今回の来日では奈良の吉野に滞在し、美しい山で過ごした。一方で東京は眠らない街。24時間楽しめる。食べ物もおいしい。数時間の移動で地方と都市を行き来できるのも素晴らしいと感じています。

──最も思い出に残る民泊体験は、日本だそうですね。

 地方のあるお寺で畳の部屋を借り、4日間、僧侶体験をしました。1泊60ドルで、仏教にまつわる行事、僧侶の暮らしについて学びました。過疎化が進み、若い人は都会に行く。年老いた檀家はどんどん亡くなる。Airbnbの収入が寺の修繕や維持に役立てられていました。

 体験型観光プログラムを有料で提供する新サービス「トリップ」もスタート。昨秋に東京で、この春からは大阪で受け付けが始まった。生け花や和紙作りなどの日本独自の文化を専門家や講師に教わって体験できる。

──新サービスのねらいは?

 われわれは民泊という形で家をシェアすることを始めました。今度は、地元の人々の情熱や才能、文化を旅行者とシェアしてほしい。

(ライター・山口亜祐子)

AERA 2017年4月17日号